原子爆弾投下から70周年を迎えた広島・長崎の両県立美術館で、『戦争と平和展』というイベントが催されている。
これは19世紀のナポレオン戦争期から第二次世界大戦に至るまでの戦争絵画を集め、戦争が市民をも巻き込む総力戦に至った経緯をたどっていこうという趣旨のものだ。
広島と長崎、それぞれ期間を分けて開催される。9月13日までは広島県立美術館で、9月19日から10月25日までは長崎県美術館でというスケジュールだ。
それにしても、壮大な趣旨の展示会である。広島と長崎の両県が第二次世界大戦をテーマとして扱うのは分かるが、今回のイベントはナポレオン戦争にまで遡って“戦争”を語ろうとしている。
ナポレオンといえば、18世紀末から19世紀にかけての人物である。だが戦略思想としての総力戦、国家総動員政策に正当性を与えたのは、他でもないナポレオンなのだ。