無人探査機ニュー・ホライズンズ撮影像を用いてタイムラプスでとらえた「冥王星」の姿

ニューホライズンズの接近と離脱を再現

今年の7月、謎が多かった準惑星である冥王星に、探査機『ニューホライズンズ』が初めて接近し、われわれがいままで見たことがなかった画像やデータを送ってくれた。

そのときの『ニューホライズンズ』から見える、冥王星系の光景を再現したのがこの動画だ。8月末にNASAが公開したものである。ユニークなのは、これは実際に撮影した画像を使ったものだということだ。しかし、そのまま再現したものではなく、一定の加工を加えている。まさに科学とアートの融合といえるだろう。

こちらの動画、『The Pluto System As Seen By New Horizons Spacecraft – YouTube』をご覧いただきたい。

この動画を作成したスタッフが、NASAのブログでメイキングの様子を語っている。そのスタッフとは、スチュワート・ロビンス氏。コロラド州ボルダーのサウスウエスト研究所の研究者だという。

彼はこの『ニューホライズンズ』のプロジェクトのスタッフであり、CGによる画像や動画を趣味としていた。そこで自主的にこのアニメーションを作成した。

 

時間の経過や視野は変更されている

リアリティを追求するために、彼はまず冥王星系(冥王星とその衛星)の正確な三次元モデルを構築した。最新の冥王星の軌道データを使い、冥王星の傾きを再現し、知られているすべての衛星の軌道も盛り込んだ。そのうえで、視聴者がまるで『ニューホライズンズ』に搭乗しているかように、実際の映像をあてはめていったのだという。

最初のバージョンでは、各フレーム(1コマ/30秒)が、実際の1分に相当するように制作した。そして、『ニューホライズンズ』が持つ、モノクロの望遠カメラで撮影した画像を使用した。

しかし、結果的には、できた映像はあまりいいものではなかったという。接近している時間は短く、探査機はあっというまに近づいて、あっというまに遠ざかってしまったのだ。

そこで、タイムスケールを可変式にした。動画の最初と最後では1秒が実際の30時間に相当するが、もっとも冥王星に近づいたところでは、動画の1秒が実際の30分に相当するようにしたのだ。また、視界も、最初と最後では、冥王星系の全体が収まるように変更をした。それでいて、もっとも接近したときには冥王星が画面めいっぱいに広がるようなスケールにしたのだ。

そのほかにも、カメラのセンターに来る位置を調節したり、本当なら小さすぎて見えないはずの衛星を、実際より大きく描いたりしている。とはいえ、それ以外の要素はきわめて正確だという。

じっさい、加工されたこの動画を見ても「接近していた時間なんてあっというまなんだな」と感じる。ほんのわずかな時間だけ。ほかには代えがたいこの仕事をするために、『ニューホライズンズ』は9年もかけて旅をしていったのだ。

個人的な感想だが、若いティーンエイジャーが、これを見て宇宙探査の仕事を志すことがあってもおかしくないくらい、『The Pluto System As Seen By New Horizons Spacecraft – YouTube』は、魅力的な動画だと思う。

そしてこれは純然たるノンフィクションでもなく、完全なフィクションでもない。科学、アートともに、その力は偉大なのだ。

 

【参考・動画】

※ Pluto New Horizons -News and images from the Pluto New Horizons team

※ Aphelleon / Shutterstock

【動画】

※ The Pluto System As Seen By New Horizons Spacecraft – YouTube

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