アメリカ銃規制議論の行方…「憲法修正第2条」とハリウッドスター・ジョン・ウェイン

全米ライフル協会会長

『憲法修正第2条』とハリウッドスターのつながりで言えば、もう一人重要な人物がいる。

チャールトン・ヘストンだ。『ベン・ハー』や『猿の惑星』で主役を務めたことで、日本でもよく知られている。

ヘストンは、若い頃は人権派として知られていた人物だ。白人でありながら、あのキング牧師と共に公民権運動に従事し、ワシントン大行進にも参加した。ミケランジェロ彫刻に命を吹き込んだかのようなマスクと肉体、そして大学時代に養った巧みな弁論。アメリカでは“弁舌に長けたナイスガイ”が人々からもてはやされる。

そんなヘストンは晩年、全米ライフル協会の会長を務めていた。彼は銃規制反対論者でもあった。ヘストンの会長職は1998年から2003年まで続くことになる。当時は連邦法レベルの銃規制法案が存在したが、ヘストンはその撤廃を主張した。「銃がなければ犯罪者から見を守れない」というのがその根拠だ。

ところがその間に、アメリカの銃規制議論は大きな転換点を迎えることになる。1999年に発生したコロンバイン高校乱射事件が、その転換点だ。

生徒と教員合わせて13人の命が奪われたこの事件は、合衆国民の心に深い影を落とした。「やはり銃規制は強化されるべきではないのか」。ところが全米ライフル協会は、なんと事件の10日後に、コロラド州デンバーで銃規制に反対する集会を開いたのだ。のちに協会は、「事件の前から決められていたスケジュールだった」と弁明しているが、問題は事件を受けてもそのスケジュールを一切変更しなかったという部分にある。

その後もヘストンは集会の度に登壇し、熱弁を振るった。そしてこう叫んだのだ。

「死んでも銃は手放さないぞ!」

その主張は、ジョン・ウェインのそれと1インチもずれることはなかった。ヘストンもやはり、“護憲派”だったのだ。

1ページ目から読む