Uberが防戦に回る日…「タクシー会社巻き返し」のシナリオ

Uberからの突き上げ

インドネシアに『ブルーバードグループ』というタクシー企業がある。同国最大の車両保有数を誇る会社だ。

半年サイクルで日本とインドネシアを往復している筆者は、この9月にジャカルタへ戻ってきた。その時にまず感じたのが、同地の配車サービス業界の劇的な変化である。

まず、市民がタクシーを呼ぶのに車道へ向け手をかざすことがなくなった。代わりにスマートフォンを使い、ブルーバードが提供するアプリで車両を手配する。そのほうが当然会計が明瞭で、小銭を持ち歩かずに済む。インドネシアの通貨ルピアは、1997年のアジア通貨危機の影響で単位が非常に大きい。そういった国は慢性的な小銭不足という問題を抱えていることから、ドライバーからしてもキャッシュレス決済は非常に魅力的なのだ。

ジャカルタ・路上のタクシー(澤田オフィス提供)

そしてこれは筆者がよく言及していることだが、スマホ経由の車両手配ではボッタクられる心配がない。特に外国人がタクシーに乗る場合は、ほぼ必ずと言っていいほど余計な金額を上乗せされたものだ。ブルーバードですら、そういうことが日常茶飯事だった。だが今は、車内でのセコい悪事はすっかりなくなっている。

これまで、決してサービスの良くなかったタクシー会社が生まれ変わったきっかけは、やはりUberの登場だ。この“侵略者”の強大な勢いは相変わらずで、現地報道によるとジャカルタ、バンドゥン、バリの3ヶ所における提携希望ドライバーは、なんと6,000人にも上るというのだ。主に中小のハイヤー企業がUberとの提携を熱望しているという。

無理もない。中小零細の配車企業は、今まで観光地でチラシを配ったり外国人に声かけをしていた人々なのだ。そのような、効果の定かでない地道な作業から解放されるというだけで、充分にメリットがある。

だが、大手タクシー会社がそれを黙って見ているはずがない。ブルーバードは大胆な賭けに出た。

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