存在感増すシャープ、インドネシアの白物家電市場について学ぶ

エアコンとスマホ

「インドネシアは熱帯地方の国なのだから、当然エアコンは売れるはずだ。」

日本の方々はそう考えていることだろう。

だが、イメージに反してインドネシアのエアコン普及率は非常に低い。その数字は10パーセントに及ばない。アッパークラス、アッパーミドルクラスの家庭ならともかく、ワーキングクラスの市民はエアコンなど持っていない。だからこそ頻繁に沐浴を行うし、彼らが余暇を利用してショッピングモールに足を運ぶのも、実は“涼むため”という目的がある。

日本人から見れば「そんな生活、不便じゃないのか」と思ってしまうが、インドネシア人にはインドネシア人なりの事情がある。

ここで考えてほしいのは、日本の高度経済成長期は1960年代に発生したという事実だ。この当時の人々の購買意欲は、自動車か白物家電に向けられていた。これは言い換えれば、“買うものがそれしかなかった”ということだ。

だが今は違う。スマートフォンやタブレット、パソコンが家電量販店で売られている。「エアコンよりもスマホがほしい」と思うのは、やはり人情である。白物家電の最大のライバルは、モバイル機器なのだ。

そしていつの時代の人々も、より魅力的な製品に金を出す。すなわち家電メーカーは、スマホを凌駕するだけの魅力を持った新製品を開発しなければいけないのだ。それを怠れば、インドネシア市場ではまず生き残れない。

この国でのビジネスの厳しさは、そこにある。

 

アフターケアの課題、そして存在感を増すシャープ

インドネシアの市場で台頭しているメーカーは、やはり日本か韓国のそれである。もっと言えば日本メーカーはシャープ、韓国メーカーはLGの製品が存在感を示している。

シャープといえば数年前の経営危機のイメージがまだ払拭し切れていないが、インドネシアでは白物家電のトップメーカーとしての地位を築いている。2年前には、東京ドーム7個分の広さを持つ現地工場の稼働を開始させ、家電製品の大増産を計画した。

そしてこの企業が凄いのは、売った製品のアフターケアに100パーセントの責任を持つという姿勢を明確にしていることだ。「そんなの当たり前じゃないか」と言われそうだが、まずは下の写真をご覧いただきたい。

インドネシアと東アジア(澤田オフィス提供)

 

これはインドネシアの国土を東アジア地域に置いた場合の地図である。インドネシア最東端のパプアニューギニア国境を東京に合わせた場合、最西端のバンダ・アチェは何とキルギスに達してしまうのだ。

しかし、だからといって、インドネシア全土に充分な道路インフラや空港などは整備されていない。もしジャカルタのオフィスに「冷蔵庫が故障したから修理のスタッフを送ってくれ」という電話が、パプア州のどこかの都市からかかってきたとする。実際に現地へ行くとなると、あたかもインディー・ジョーンズみたいな冒険旅行が繰り広げられることになる。

現実的な課題は多いが、それでもシャープはやる気を示している。同社が行っている『移動式サービスステーション』は、高機動トラックを各島に派遣して地域を周回するというものだ。

フローレス島中部の集落(澤田オフィス提供)

ろくな道路もない、あまりに広大過ぎる島嶼国家。だがその人々がどこに住んでいようと、製品を購入した顧客という点に変わりはない。

「新興国で家電製品を売る」というビジネスは、文字どおり山あり谷ありの冒険でもあるのだ。

 

【参考】

※ 日本のエアコンとウォシュレットがアジアに奇跡を起こす! – SBCr Online

※ シャープ、インドネシア国内向けの白物家電工場を現地に建設 – 家電Watch

※ シャープが巡回修理強化、車両10台を投入 – NNA.ASIA

※ The True Size

※ Anna Omelchenko / Shutterstock

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