小中学生の学力、県内ワースト2位から数年でトップへ!豊後高田市の「学びの21世紀塾」とは?

子供にも大人にも市民としての自覚と連帯感を!

また、市民たちは学習支援だけでなく、様々な講座やアクティビティを通して21世紀塾へ参加することができる。

『わくわく体験活動』は遊びや地域活動参加を通じて子供たちが学び、楽しめる、人気のプログラムだ。地域の老人会や歴史・伝統保存会、社会活動組織のメンバーが中心となり、放課後や週末に行われている。

世代間の交流と地域社会を通した学びの機会は、子供たちにとっても高齢者にとっても意義のある活動だ。

 

少子化・過疎化に悩む自治体にとって、子供たちのスポーツ活動は大きな関心事となっている。全校生徒が数十名から百名程度の小中学校が多くなり、これまでの学校単位のクラブ活動が機能しなくなってしまっているからだ。

そこで21世紀塾ではスポーツの支援も重点的に行った。

『のびのび放課後活動』では、小中学生が放課後に市内各拠点校に集まり、スポーツを楽しめる環境を整えた。一校一校に予算を付けても中途半端に終わってしまうので、効率的に集約したのだ。

そして教員だけでなく市民も指導に参加できるようにし、29種のスポーツ団体を設立。世代間の垣根を取り払って、スポーツを楽しむ環境を推し進めた。

小学生のうちから、他の学校の生徒と練習したりすることで交流や結束が進み、中学・高校での県大会優勝という成果も出始め、2013年の全日本少年軟式野球大会における市立高田中学クラブの全国制覇という快挙も生まれた。

imasia_14211489_M

source:https://pixta.jp/

 

また、市内の小学6年生が参加する4泊5日の合宿も、中学生になるにあたり連帯感と自覚を高める役割を担っている。

保護者にもこの合宿は、返って来た子供たちが見違えて見えると好評だ。これから豊後高田市民となるにあたっての、ある種の通過儀礼・イニシエーションとも言えるだろう。

 

21世紀塾の成功は、これら教育支援だけではなく、市民育成・事業創出の一面も持っていたことが大きい。

講師やスタッフとして参加する市民ボランティアは、報酬を受けるだけでなく、自身の営業活動も行うことができる。このインセンティブが無ければ、ここまで大きくなることは難しかったかもしれない。

普段は個人塾を経営する講師にとっては、子供たちが勉強に興味を持ってくれることが一番の報酬となる。21世紀塾だけでは物足りなくなった子供が、自身の塾の生徒になってくれるからだ。

気軽な気持ちで講師として参加した主婦が、教育に“目覚めて”しまい英会話塾を開業したという事例も。それまで“人材”と見なされてなかった人たちが、自身の能力に気が付き、新たに事業を起こすという良い“副作用”まで市にもたらしている。

 

また、21世紀塾出身者が高校生や大学生になって、今度は”先生”役として小中学生の学習サポートをするケースも増えてきた。

一度県外の大学に出て、そこで初めて豊後高田の取り組みの意義を知るケースもある。それまではこれが”当たり前”のことだと思っていたのが、他地域に出て初めてそれが”当たり前”ではないことを知り、そこに秘められた重要性に気が付くのだという。

当初に講師役として活躍した第一世代が引退し始め、かつて塾生だった子供たちが大人になり、大学を卒業してまた豊後高田に戻り始めている。この循環が強く太くなってこそ、本当の地域社会活性化が見えてくるだろう。

1ページ目から読む