クルマにも塗れる?日本発の太陽電池「ペロブスカイト」の開発が加速

クルマのルーフやガラスに塗装可能、EVやPHV、FCVでも活躍?

2009年に桐蔭横浜大学の宮坂力教授が見出したもので、特殊な結晶構造を持つ『ペロブスカイト』が太陽電池として作動することを発見したことに端を発する。

現行のシリコン系太陽電池に代わり得る低コストで高効率な次世代太陽電池として期待されており、塗布などの低温溶液プロセスで簡単に作製可能で、高い光吸収能力を示し、大きな短絡電流と高い開放電圧が得られるのが特徴だ。

炭素などの有機物、鉛などの金属、ヨウ化物や塩化物といったハロゲン化物で構成する“有機無機ハイブリッド型”で、多少雑に作っても高い発電効率が得られる。

シリコン系に必要な高温加熱や高真空プロセスが要らず、基板の上で多孔質の酸化チタンに溶液を塗布して乾かすだけで、作製することができる。

1平方メートル当たり150円程度の原材料を塗布するだけで発電できるため、コストが課題となるバッテリーカーや、室内光だけで作動するPCなどIT機器への応用が考えられる。

例えばEV(電気自動車)やPHV(プラグインハイブリッド車)、FCV(燃料電池車)などのバッテリーカーのルーフ一面に、『ペロブスカイト太陽電池』を塗布すれば、充電用として活用できる可能性もある。

これら次世代環境車にとって、充電スタンドや水素ステーションなどのインフラが、次世代環境車普及には必要不可欠なだけに、インフラ整備だけでないエネルギー充填のアプローチとして、『ペロブスカイト太陽電池』への期待は大きいと言えるだろう。

 

太陽光エネルギー変換効率が20%台に

宮坂教授が製作した『ペロブスカイト』の太陽光エネルギー変換効率が、2012年に10.9%に向上し、『サイエンス』に発表したのを機に、研究者による開発競争が日本を基点に海外でも本格化した。

2015年6月には、GREEN(国立研究開発法人 ナノ材料科学環境拠点)が『ペロブスカイト太陽電池』を低温・溶液プロセスで変換効率“14%超”を達成。

NIMS(国立研究開発法人 物質・材料研究機構)も同年11月、有機材料を無機材料に変更することで、セル面積1平方センチメートル以上で変換効率を“16%”に向上させると共に、実用化の目安とされる信頼性テスト(太陽光1,000時間の連続照射)をクリアしたと発表。

 

そして同じく2015年11月、東京大学先端科学技術研究センターの瀬川浩司教授らが、エネルギー変換効率“21.5%”の世界最高値を達成した。

同研究室が開発したのは『色素増感型』と『ペロブスカイト型』の2種の太陽電池を組み合わせたタイプで、前者は有機材料を使用する近赤外光向き、後者は有機と無機材料を併用しており可視光に向く。

実検では、太陽光を近赤外光と可視光に分離した上で、2種の太陽電池に照射、それぞれを合わせることで発電効率21.5%を得た。

『色素増感型』の上に『ペロブスカイト型』を積み重ねることで、『ペロブスカイト型』を通過した近赤外光を色素増感型で吸収して発電、2020年までに単結晶シリコン型の発電効率“25.6%”以上を目指すと言う。

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