【未来探訪#004】教えて、新保先生!日本「ロボット立国」への道

「ロボット法」の取り組みは技術者に受け入れられているのか?

-ロボットに関する法制度の整備や法的課題を研究する『ロボット法』に関する取り組みですが、技術者には受け入れられているのでしょうか?

赤坂先生、

<イノベーションは、規制が何もないところで起こるものもあれば、規制が既に存在する領域で起こるものもあります。

従って「イノベーションの足かせになるのでは?」といった議論はあてはまらないと考えています。実際に、『ロボット法学会』設立準備研究会における取り組みは、既に研究者の一部からは、新たな技術を社会に広めていくために必要なことと歓迎されています。

法制度などの必要な社会インフラが整っていないがためにリリースできていない新たな技術も、この世には沢山存在しています。

例えば警備をロボが行えば、正確かつより完璧に警備が出来ることでしょう。しかし。警備業法が人による警備の執行のみを前提とした法律であるが故に、自律型のロボットが自動的に警備するまでには、実際にはそういった新技術が投入できていない現実もあります。>

 

新保先生、

<法律は規則であって自然界の法則ではありません。法則を変えることは困難を極めますが、人が決める法律はそうではありません。ロボット法の分野はこれからの分野であり、今は“決めるために何を決めるべきか”を議論している段階にあります。

適切な法制度の整備は、イノベーションと社会普及を両立させる鍵といえます。

例えば、ジュネーブ条約に従うと、無人での車の自動運転は条約違反となり現時点では“出来ないこと”となりますが、技術の進化による可能性に応じて、新たなルールや解釈を、時代の要求にあわせていくことが、より法学に求められています。

新たな技術の開発も、その実装や社会での導入も人が決めていくことです。

車に例えると、技術の進歩はアクセル(開発速度)だけが注目されがちです。ただ、人が運転する車は、ブレーキ(間違った方向に行ったときに修正する機能)があるから速く走れます。アクセルだけの車は、危なくて人は乗れません。社会では普及しない、ということです。

(人間のクローンなど、)倫理上許されないものは法規制すべきですが、まだロボット開発はこの段階にはきていません。

例えば、人を滅ぼす事が出来るロボットは普及させるべきではありませんが、まずは、ロボットが何をなす事が出来るのか、どういった可能性があるのか、ということを引き出すまで、道筋を見出すことが先ではないでしょうか。

我々が提言したいのは「こういったことを考えていない現在を変えよう」ということです。

 

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ロボットの導入によって、人はより自由になる?

-社会へのロボット導入は、人をより自由にするのでしょうか?

新保先生、

<ロボットの導入によって人はより自由になれるはずです。人がやっている仕事が奪われるのではなく、もうひとつの側面としては、人がやりたくないことや、命がけの仕事などを代替してくれるし、その分人はより自分がやりたかったことが出来るようになる機会を与えてくれます。

例えば、完全なる自動運転が可能になるのなら、通勤時に寝ることもできるし、より自由に車での移動時間を楽しむこともできるかもしれません。

ウルグアイの元大統領が、「人の幸せは、人と生き物からしか得られない」とおっしゃっていました。抑圧的な労働を生活のためにしなければならないことが解消されるのであれば、ロボットの普及は、人がより人らしく生きていくきっかけを与えてくれるものでもあるはずです。

 

当然失業者が増加するリスクもあります。現にイギリスではそういった懸念を口にする学者も存在します。

産業革命時に、失業率の増加と共にラッダイト運動(機械破壊運動)を経験した国らしい懸念です。ただ大切なのは、それにより新しい産業が生まれ、新たな付加価値を生み出す可能性が生まれるということです。

歴史はそれを証明しているわけなので、今回もロボットを排除するのではなく、いかにうまく活かしていくかを考えるべきでしょう。>

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