「NewsPicks」100万ユーザー突破、経済メディア世界一は実現可能か?梅田代表と佐々木編集長が語る想い

帝国の逆襲/THE EMPIRE STRIKES BACK

開発運営チームにも情熱と才能あふれる人材が集まり始め、外部からの流入システムが改善された『NewsPicks』は、2014年に入ると1日1,000人以上のペースで新規ユーザーが増え始めた。

2月には、定額有料購読オプション制度がスタート。月額1,500円で有料会員になると、厳選された外部メディアの有料記事が読めるというサービスだ。無料が基本のニュースキュレーションの世界では、課金サービスというのは珍しい。しかも1,500円という高額設定は、スマホアプリとしては異例とも言える。

梅田氏は『NewsPicks』の基本構想として、当時ウェブメディアで常識とされていた“PV至上主義”とは距離を置くことを決めていた。PVとバナー広告に頼らないニュースを中心とした新しい場を作り上げ、ニュースが本来もつはずの潜在能力を解放し、他にない魅力的な情報ネットワークを生み出せるという確信があった。

それまでiOS版のみのサービスであったが、Android版とPC版も出揃い、いよいよ本格的に世間に打って出る体制が整う。

そして7月、満を持して独自の編集部を設けることを発表。その編集長には佐々木紀彦氏が迎えられた。

東洋経済オンライン編集長として、同サイトを業界1位のウェブメディアに育て上げたことで、名を轟かせていた佐々木氏の加入は、誰もが驚くビッグニュースとして報じられた。

佐々木氏はこう語った。

<今の日本のメディア界は100年に一度の変革期にある。

どのプレーヤーも新時代の”解”を探そうと必死に模索している。

その”解”をここで創り上げたい。>

 

8月には、伊藤忠テクノロジーベンチャーズがリードする第三者割当増資が行われ、4億7千万円の資金を調達する。出資に参加した顔ぶれを見ても、他の先行勢と違い『NewsPicks』とそれを運営するUZABASEが、ユーザー数獲得だけを目指しているわけではないことが窺える。

 

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同年9月には、編集部によるオリジナルコンテンツがスタート。様々な視点から切り込んだ独自記事や、スポンサー企業の価値を高め、コアなファンを増やし、企業とユーザーを直接結び付けることを目指す“ブランド広告記事”が展開される。

また、スマホ時代における効果的な情報伝達も模索され、ビジュアル面も強化されていく。知的でスタイリッシュなインフォグラフィックを用いた記事作りのために、第一人者である櫻田潤氏が招聘される。

『NewsPicks』ローンチからちょうど1年で、ダウンロード数も21万を突破し、世間への認知度も徐々に高まりつつあった。

 

だがこの頃、ライバルの『スマートニュース』・『グノシー』・『アンテナ』の各陣営は、激しいテレビCM攻勢に打って出ており、『NewsPicks』の20倍30倍の規模という巨大帝国を築きつつあった。

もはや総力戦を超え消耗戦とも言えるような状況が、“スマホ宇宙”で繰り広げられていたのだ。

更には『NewsPicks』内部でも不穏な空気が漂い始めていた。

ユーザー数の拡大と共に、初期の有志メンバーによる濃密な空間が薄まり始め、不満を口にしたり脱藩宣言するユーザーが続出。“志”と“質”の維持と、認知拡大のバランスを保ち続けなければいけない、運営サイドの舵取りセンスが、厳しく問われるようになっていた。

それは、参加するユーザーに対しても同様であった。ユーザーのコメントの質が、ニュースも含めたコンテンツの価値を左右するからだ。無償で自由参加するにも関わらず、最低限のモラルのみならず、美意識まで暗に要求されるのだ。

 

「こんな面倒くさいサービスは、はたしてスピードと直感性が最優先とされるスマホ時代に生き残ることはできるのだろうか?」

 

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