「富士山帰属問題」と観光PR合戦。山梨と静岡、果てしなき攻防

遅れを取る静岡県

山梨県の観光PRは、「富士山は山梨のもの」というイメージを全国の人々に印象付けている。

現に、一般人の富士登山で最もポピュラーな登山口は、山梨県側の吉田ルートだ。この登山道は、静岡県下である富士宮ルートの2倍以上もの登山客を集めている。これはやはり、山梨県が富士山の観光整備に心血を注いだという証明である。

そういう意味で、もはや「富士山は山梨のもの」になっている。富士山帰属問題の中身は、両県が総力を以って繰り広げる「観光PR合戦」なのだ。

だが一方で、

「山梨県とは“合戦”になっていません。」

と語るのは、静岡県文化観光部の久保田豪氏だ。

<今は静岡県の一方的敗北状況です。商業観光一辺倒の山梨県に対して、静岡県は環境保護の面で一矢報いていますが、そこから一歩踏み出た重層的な施策では、お手上げの状態です。>

 

久保田氏は静岡県の観光セクション代表として、ジャカルタ市内で行われたトラベルフェアに参加している。

だが実は、静岡県ないし静岡県下の自治体の独立ブースは、そこでは設けられなかった。久保田氏は他県合同のブースで、静岡県をPRする業務に従事していた。

ジャパン・トラベルフェア(澤田オフィス)

 

甲府市が独立ブースを出し、樋口雄一甲府市長が自らパンフレットを配っていたその横で、静岡県は“富士山見物のオマケ”という存在感しか発揮できなかったのだ。

両県の観光戦略の差は、大きく開いている。

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