「我々はテロに怯えない」ジャカルタ市民に学ぶ屈せぬ心

テロリズムの歯車

平日の午前11時頃といえば、大抵の人々は、もうすぐやって来る昼休みについて思いを巡らせるのではないか。

「今日のランチはどこで食べようか。そうだ、あそこにしよう。あの店のクロワッサン、安くて美味しいからまた買いに行こう。」

何の変哲もない木曜日の光景。だがそれは、雷鳴のような爆発音により破壊された。

タムリン通り沿いにある高層ビル『Menara Cakrawala』の地上1階。ここにはスターバックスコーヒーがある。その店先に、何者かが爆弾を投げ込んだのだ。

 

それから先は、まさに戦場の景色だった。爆破と乱射が奏でる悪魔の鼓笛音、そして悲鳴。パトカーのサイレンが近づくと、ここはついに戦場と化した。

ジャカルタで再び動き出した、テロリズムの歯車。熾烈な戦闘の風は、遙か中東からインドネシアにまで達したのだ。

 

テロリストの死体

ジャクサ通りという場所がある。ここはいわゆる安宿街で、筆者はここのホステルにいつまでも居座っている。

計ったわけではないが、ジャクサ通りからタムリン通りまでは、徒歩で10分もかからない。

「タムリン通りが大変なことになっている」。

友人からの連絡を受けた筆者は、すぐさまカメラバッグを取り出して半長靴を履き、ホステルを飛び出した。

澤田オフィス提供

 

筆者が現場についた頃には、すでに武装警官が展開していた。スターバックスが狙われたということは、野次馬の一人から聞き出していた。警官の目を盗みつつスターバックスに近寄ろうとした時、手榴弾の炸裂音が鳴り響いた。

「早くここから離れろ!」。自動小銃を抱えた若い警官が、筆者にそう怒鳴る。だが筆者は、彼の意図に逆らい現場へ走った。今考えたら、よく撃たれなかったと思う。

澤田オフィス提供

 

交差点上の警察詰所の前には、3人の死体が横たわっていた。

この3人のうちの2人は、一般市民ではなくテロリストだ。このあと数時間、2人の死体と罪なき1人の亡骸は収容されなかった。ブービートラップの危険がある以上、軍の爆発物処理班が到着するまでは、死体に触ることはできない。

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