NASAが育てた「宇宙に一つだけの花」ISSでヒャクニチソウ開花

臨機応変に水やり

この実験は2015年の11月16日に開始した。目的は、科学者たちが微少重力下(※ISSは厳密には完全な無重力ではなく、わずかな重力が存在している)で植物がどのように成長するのかという理解を深めること、そして地球から遠く離れた宇宙への探査旅行の際に、宇宙飛行士に求められることになる植物栽培の訓練をすることだ。

12月の下旬、Kelly氏は、そのヒャクニチソウには元気がなさそうに見えた。しかし、決められている次の水やりのタイミングはまだ先だった。そこでKelly氏は地上のチームに言ったという。

<われわれが火星に向かっているとしよう。そして、植物を育てている。植物が水を欲しているように見えたら、どうするか判断するのはわれわれ自身の責任といえるだろう? 自分の家の裏庭でやったのと同様に、私はヒャクニチソウを見てこう思ったんだ。「おっ。今日は水をやらないといけないかもしれないな」ってね>

 

地上の植物栽培チームは、『軌道上の園芸家のためのヒャクニチソウ世話ガイド』と名づけられたガイドラインを作った。

ただし、通常の実験の場合は、手順を事細かに指定した、何ページもにわたるものであるのに対して、この『ヒャクニチソウ世話ガイド』は、ごくシンプルなたった1ページのもの。

Kelly氏を自立したひとりの園芸家として、判断をまかせた形だ。

そして1月12日、人類初の宇宙における花の開花が見られたのだ。

 

宇宙での野菜栽培は不可欠な技術

人類が火星探査を行おうと思ったら、おそらく宇宙空間での野菜の栽培は、不可欠になってくるだろう。近日公開予定の映画『オデッセイ』(主演:マット・デイモン)でも触れられていることだ。

しかし、農業というのはマニュアルどおりにきっちりやればできるというものではない。というのは、やっぱり相手は“生き物”だからだ。しかも、宇宙空間での農業はデータもないので、事前には予測できないことも多いだろう。やはり、栽培をする人間のスキルに依存する部分は、大いにあると思われる。

宇宙空間で初めて花を咲かせることができたというのは、大きな意義があるだろう。

ただし、そのノウハウは、やはりマニュアルでは伝えきれない難しさを抱えているのだ。

 

【画像・参考】

※ NASA

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