JALの世界最長大気観測「地球温暖化の解明」へ重要なのは“継続”

1990年代に観測をスタート

『CONTRAIL』とは、Comprehensive Observation Network for TRace gases by AIrLinerの略。

「広範囲な(地球規模の)旅客機を利用した大気観測ネットワーク」といった意味だ。

 

江藤氏、

<国立環境研究所、気象庁気象研究所、ジャムコ、JAL財団、日本航空が協力して行っているプロジェクトです。

日本航空は、航空機を使い、上空からの大気採取やCO2濃度の測定装置の搭載を担当させて頂いてます。

採取した大気やデータは、地球温暖化のメカニズム解明などのために、研究機関で研究材料として使われています>

 

--いつ、どのようにして始まったのだろうか?

 

江藤氏、

<1990年代初めに、当時の日航財団(現在のJAL財団、以下同じ)が、社会貢献を目的とした共同作業について公募したんです。で、それに気象庁気象研究所が

「大気観測を航空機でやってもらえないか」

と応募されたのがきっかけです>

 

1993年、気象庁気象研究所と日航財団、日本航空が協力し、オーストラリア-成田間で観測を開始。

当時、国際長距離路線の主力機だったボーイング747型機(通称ジャンボジェット)に、自動大気採取装置を装着。世界初の試みだった。

 

2種類の自動観測機器を搭載

現在の『CONTRAILプロジェクト』は2005年にスタートする。

 

江藤氏、

<改良型のASE(自動大気採取装置)を開発し、新しくCME(CO2濃度連続測定装置)も導入しました。

各装置は、完全にオートで作動し、停止も自動。パイロットの操作は不要です。

配置場所は貨物室の壁面です。エンジンから入って来た空気を機内のエアコンに導くダクト内にチューブを取り付け、そこから取り入れた大気を採取したり、CO2濃度測定を行います>

 

搭載航空機は計10機

--どの様な航空機に搭載しているのだろうか?

 

江藤氏、

<ボーイング777型機に合計10機です。

200ERというモデルに8機、300ERに2機です。それらのうち、(自動観測機器の)ASEとCMEの両方を搭載できるのは5機です。

ロゴ部分 15-12-18_10-09_063

資料提供:CONTRAILプロジェクト

 

ちなみに、搭載機の中には『CONTRAIL』のロゴを機体に入れた特別塗装機も2機あります。

 

CME 138_3814R

「CME」 資料提供:CONTRAILプロジェクト

 

CMEは、航空機の上昇中、巡航中、下降中にCO2濃度を連続的に、高精度で自動測定し記録します。搭載機は、全フライトで2ヶ月間連続して測定を行い、3機が常に観測を行っています。

ASE 138_3804R

「ASE」 資料提供:CONTRAILプロジェクト

 

ASEは、主にヨーロッパ路線とオーストラリア路線で大気採取を行っています。

特に、1993年から行っているオーストラリア-日本間の観測は、研究者にとって重要。南半球から北半球を飛行する航路なので、広範囲の観測ができるからです。

大気の採取は、1回のフライトで計12地点。容量1.7Lのフラスコ(専用容器)12本に入れた大気は、国立環境研究所へ届けられ、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、六フッ化硫黄、一酸化炭素、水素などの濃度が分析されます>

1ページ目から読む