新型コロナウィルス感染拡大の影響もあり、DX(デジタル・トランスフォーメーション)はかなり進行しているでしょう。その結果、非接触、ペーパーレスのサービスも多く出てきています。とはいえ、デジタル化が進行する中であえて“無駄”に思えるようなDXをしてしまうケースも……。実業家・堀江貴文さんが感じた間違ったDXについて、ニュースレター『堀江貴文のブログでは言えない話』から抜粋してお送りします。
最近の新幹線はJR東日本でもJR東海でもチケットをモバイルSuicaに送れるようになったので、快適にスマホだけで乗車できるようになって便利だ。
しかし、面白いことにJR東日本とJR東海とでは自動改札機の仕様が違うのだ。
そもそも車掌がチェックしていて全席指定にすれば改札機すらいらないと思うし、ヨーロッパの鉄道のようにチケットを購入せずに乗っている人を抜き打ちでチェックして懲罰的罰金を課せばいいのにと思うけど、まあ日本の企業というのは何でも緻密に作らないと気が済まないのだろう。
JR東海の新幹線はモバイルSuicaで入場すると、改札機からニュルっと切符の代わりに紙が出てくる。ご丁寧に座席と列車名が書いてある。そんなもんが出てくるとは思っていないので、ご丁寧にも駅員が忘れている人に素早く手渡している。なんなんだ、このサービス。
おそらくだが、社内でこのシステムをプレゼンしたら役員の1人が、「モバイルSuicaには座席の場所を知らせるシステムがなく、どこに座っていいのかわからなくなるじゃないか?」(購入時の履歴は残っているのでそれを参照すればいいのだが)」とか、「他人に送る機能があるから、その人にはわからなくなるじゃないか?」とか、たぶん難癖をつけて結局フルデジタルにはできず紙を出すシステムになったのだろう。結果、自動改札から出てくる紙の取り忘れが出てくるので、その対策に駅員を配置するという謎の対応になる。
その対応は紙を取り忘れた人が渡された瞬間にビビるレベルの素早さである。
JR東日本の自動改札からそんなものは出てこないので、必要ないことは明白である。JR東海は長らく検札も廃止しなかったので、その辺なにか社内に変な役員がいるのだろう。
同じくデジタル化されているはずの飛行機のチケットも、座席がプリントされた紙をANAは手荷物検査場と乗る前の改札の二箇所で渡される。JALは手荷物検査場のみ。
なんなんだこの差は。
不思議な日本の大企業。
数年前から考えると何倍も早く進んでいる日本企業のDXですが、サービスアイデア自体がDX化できていないと、堀江さんが指摘したように結果的に“無駄”が増えてしまうこともあるでしょう。DXはあくまでも手段のひとつ。企業がビジネスを効率化して、競争優位性を高めるという“目的”を忘れずに、DX化に取り組むべきでしょう。
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※claudenakagawa/Shutterstock
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