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Amazonが従業員の“学費全額負担”を発表!新たな「富の再分配」が広まる…!?

世界的なリーディングカンパニーであるAmazon。最近ではオンラインショップ以外にも、動画配信サービスや電子書籍ストアなど、様々なコンテンツを提供しており、日本でも全くサービスを利用したことが無いという人は少ないでしょう。

そんなAmazonで、「従業員の学費を全額負担する」という発表がされたと日本経済新聞が報じました(※1)。世間からは“民間の福祉政策”に様々な反応がみられました。

Amazonが従業員の“学費全額負担”を発表

9月10日に行われた日本経済新聞の報道(※1)によると、「米インターネット通販最大手アマゾン・ドット・コムは9日、米国の物流拠点で働く時間給の従業員75万人を対象に、大学の授業料を全額支払うと発表した」とのこと。

さらに、「1月から入社90日目以降の大学の授業料、手数料、教科書代を負担する。国内の数百の教育機関での学位取得に適用されるという。高校卒業資格取得に向けたプログラムや、英語を母語としない従業員の英語資格などの関連費用も対象とする」と述べられていました。

その狙いについては、「年末商戦を前に人材をめぐる競争が激化するなか、福利厚生を拡充して人手確保につなげる」ものと説明されていました。

その背景には、アメリカの小売業界で人手不足が課題となっていることや、学生が抱える学費ローンがあると考えられます。これらの問題から、Amazon以外にもディスカウントストア大手であるターゲットや、小売り大手であるウォルマートでも従業員の学費を全額負担するという取り組みが始まりつつあるようです。

民間による福祉政策に対する世間の反応

株式会社マイネット代表である上原仁氏は、「市場競争に勝ち切ればビジネスモデルの中に富の再分配を組み込めることの証明。純粋にすごい」と感嘆の声を上げていました。

株式会社令和トラベルCEOである篠塚孝哉氏は、「これもうベーシックインカムだなぁ….すごすぎる」とコメント。全ての人に対する所得保障であるベーシックインカムのような制度が、政府ではなく民間から始まることに注目したものと思われます。

「民間が下手に基金などを通じず直接支援する形、日本でもふえないかな。もう国は厳しいだろうし、明確にインセンティブ働かせられるし」というツイートも。日本でも同じような取り組みが導入されることを期待する声も多くみられました。

「すごいな 従業員子息の学力レベル上がれば将来自社の有望な人材になる可能性あるし国力が上がり自社利益につながる」と人材の確保以外にも、企業にとって長期的な目で考えれば利益に繋がるのではないかという意見もみられました。

「社会を良くしたいなら民間で成功するほうが早い感、がどんどん加速する。国・自治体など行政が本気を出せば、その力はもちろん超強い。が、常に本気じゃないとすぐに死ぬ民間のほうが圧倒的に実行・実現力がある」という考え方もみられました。

逆に、“一見「いい話」っぽいけど、本来ならAmazonからガッツリ税金とって政府がやるべきことなんじゃなかろうか”という意見も。政府がきちんと機能していないために、このような民間での直接的な福祉政策が始まるのではないかというコメントもありました。

このAmazonの例のように、政府などの公的機関を介さずに、民間企業と国民の間で再分配のようなシステムに注目が集まっています。

民間がそのような役割を担うことによって生じる問題や課題もあるでしょうが、優秀な人材の育成という長期的な目で見れば、企業の利益にも繋がることになるといえるのではないでしょうか。

日本でも政府が担うべきとされていた社会課題が、一企業のビジネスモデルにおいて解決するケースが今後増えていくと考えられます。もしそうなれば、民間企業によって“富が国民に再分配”され、様々な福祉が充実していく新しい社会のカタチが見えてくるでしょう。

【画像・参考】
※1 Amazon、従業員の学費を全額負担 75万人対象: 日本経済新聞
※Sundry Photography/Shutterstock