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ジョブ型雇用は“年数の呪縛”から人材を解放するか?大室氏「石の上にもn年化」

10月4日(月)、産業医の大室正志氏がTwitterを更新。コロナ禍で日本の雇用制度がいわゆる“ジョブ型”に変化しつつある現状に触れ、自身の見解を述べました。

コロナ禍で注目が集まる「ジョブ型」雇用とは?

三井住友DSアセットマネジメント株式会社が発行した「『ジョブ型』は定着するのか?変わる日本の労働環境」によると(※1)、コロナ禍をきっかけにテレワークなどが一気に広がったことから、ジョブ型雇用が注目されているとのこと。

これまで日本の雇用制度の多くは新卒一括採用など、メンバーシップ型と呼ばれ、総合的なスキルを求められてきました。一方でジョブ型雇用とは、「仕事(ジョブ)の内容に基づいて“仕事に人をつける”ように必要な経験・スキルを持つ人材を雇用する制度」なのだとか(※1)。すでに半数以上の企業で導入されており、リモートワークの普及でさらに関心が寄せられているそう。

働く側にとってジョブ型雇用は、「自分の得意分野に集中でき、専門性・スキルを高められる」というメリットが。対してデメリットとしては、「仕事がなくなった時に他の仕事につきにくい」こと。

また雇用側には「専門分野に強い人材を採用できる」というメリットがある一方、「条件の良い企業に転職されやすい、転勤・異動がさせにくいこと」がデメリットとしてあげられます。

コロナ禍の影響も相まって、働き方の多様性が広がっている中、従来のメンバーシップ型ではなくジョブ型雇用が加速するにつれて、労働環境や転職の仕方にも大きな変化が生じるでしょう。それに対して、産業医の大室氏は……。

大室氏「石の上にもn年化」

10月4日(月)に自身のTwitterを更新した大室氏は、ジョブ型雇用について持論を展開しました。

投稿では「石の上にも3年」という言葉について「組織の一員として認められるにはその位かかるという意味」と、あくまでもメンバーシップ型雇用を想定しているものと説明。しかし、ジョブ型雇用においては「その仕事の向き不向きが分かるのは業務によるので必ずしも3年とは限らない」といい、従来の「石の上にも3年」が「石の上にもn年化」しているとコメント。

「年数の呪縛」からの解放?

ジョブ型雇用の普及が進み人材流動性がさらに高まると予想される中で、大室氏が指摘するように、今後転職市場における勤続年数への価値観も変わっていくでしょう。

“勤続年数の長さ”が重要な要素となるメンバーシップ型雇用では、これまで「石の上にも3年」というように、新卒入社後に3年間は働かなければいけないといった言説がありました。しかし、現在普及しつつあるジョブ型雇用が主流になれば、“勤続年数の長さ”への優先度が低くなります。

今後、ジョブ型雇用を取り入れる企業が増えることで、より適材適所への人材流動が進み、企業側だけではなく求職者側へもプラスに作用していくかもしれませんね。

【参考・画像】
@masashiomuro/Twitter
※1 『ジョブ型』は定着するのか?変わる日本の労働環境 – 三井住友DSアセットマネジメント株式会社
※graphbottles/Shutterstock