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医師も判断分かれる…“子宮頸がんワクチン”の積極的勧奨再開か!? 副反応は?

厚生労働省が2013年に接種推奨していた「子宮頸がんワクチン」の積極的勧奨が再開される見通しのようです。当時、接種によるリスクや副反応が生じることが大きな問題となり、厚生労働省からワクチン接種について「積極的にはお勧めしていません」という発表(※1)がされたこともありました。

接種推奨をしていた同年には、積極的勧奨が中止となったために、接種の機会を逃してしまった女性は大勢います。厚生労働省の発表(※1)では、「子宮頸がんは、乳がんに次いで、若い女性に2番目に多いがんです」と述べられており、女性にとっては身近な病気の1つと言えるでしょう。予防できるのならしたいと思うのも当然のことかもしれません。

今回の積極的勧奨再開について、過去の事例も含めてどのように捉えることができるでしょうか?

子宮頸がんワクチン積極的勧奨再開か?

画像:PanyaStudio/Shutterstock

共同通信の報道によると、「子宮頸がんの原因となるウイルスの感染を防ぐHPVワクチンについて、接種の積極的な勧奨が止まった間に無料で打てる時期を逃した女性にも改めて無料で接種できる機会を設ける方向で厚生労働省が検討している」(※2)とのこと。

一方で、「副反応を訴える女性らは16年、損害賠償を求めて国などを一斉提訴。HPVワクチンの積極的勧奨再開に反対している」(※2)とも述べられていました。

子宮頸がんワクチン接種は必要なのか?

画像:DanielVerduga92/Shutterstock

「ちょうどワクチンの危険性ばかりが叫ばれていたときに対象の年齢で親に言われるがまま受けてない… 生殖分野のことを学んで打ちたいと思ってたから無料ならよりありがたい…!無料じゃなくても打つと思うけど」との声も。

「一方で、“国立がん研究センター「がん情報サービス」の統計資料によると、2016-18年の3年間で20歳未満の子宮頸がん罹患者登録総数は全国で6人。本当に全ての未成年者が接種すべきワクチンかなと思ってしまいます”という意見もみられました。

今回の発表は接種の機会を失ってしまっていた人にとっては、良いものに感じることでしょう。しかし、実際に罹患している人数や、未だ解決してるとは言えない副作用のリスクを考えると積極的に推奨するべきものなのだろうかという疑問も残ります。

毎日新聞の報道によると、子宮頸がんワクチンを打つべきかについて医師向け雑誌で「HPVワクチンを積極的に勧奨すべきだと思いますか」というアンケートを行ったところ、“全回答者数3420人中、「勧奨すべき」が2002人(58%)、「する必要がない」が575人(17%)、「この質問には答えない」が843人(25%)”(※3)という結果になったと述べられていました。医師のなかでも答えが分かれる問題となっており、接種すべきかどうかについて極めて判断が難しい事例といえます。

このような状況を踏まえて、しっかりと、接種するメリットや生じるリスクを説明したうえで各人が接種するかどうかを選べる体制づくりが必要だと感じます。むやみやたらに積極的勧奨をするのでなく、しっかりとした情報開示が必要でしょう。

私達には、自分の健康は自分で守る権利と責任があります。接種することを選ぶ人のためにも、過去の被害問題について国がしっかりとした対応を取ることを示してから、再開すべきではないでしょうか。

【画像・参考】
※1 Microsoft PowerPoint – (中止バージョン)HPVリーフレット (2)
※2 機会逃した女性に無料接種 子宮頸がんワクチンで厚労省検討 | 共同通信
※3 HPVワクチン「推奨派敗訴」と接種の是非は別問題 | 実践!感染症講義 -命を救う5分の知識- | 谷口恭 | 毎日新聞「医療プレミア」
※tadamichi・PanyaStudio・DanielVerduga92/Shutterstock