政治/経済

米国ではセクハラによる引責辞任も、メダルかじり虫はどうなるのか

近年ではセクハラ(セクシャルハラスメント)行為に対し厳しく取り締まる傾向がみられ、2020年6月には厚生労働省で男女雇用均等法におけるセクハラ防止対策の強化が行われました(※1)。企業ではとりわけ性別に関わりなく全ての人が共に働きやすい環境をつくるということに注目が集まっています。

しかし、残念ながらセクハラ行為についてのニュースが耳に入ることも少なくないでしょう。先日も河村たかし名古屋市長が女性選手の金メダルをかじり「恋愛禁止か」といった発言をしたことがセクハラではないかと指摘され、世間では大きな波紋を呼んでいました(※2)。日本経済新聞(電子版)で報道(※3)されたニューヨーク州の知事がセクハラ行為によって引責辞任を表明した事件を踏まえながら、河村市長の件は世間にどのように受け取られているのか、また今後どうなるのかを考察していきます。

クオモ知事がセクハラ行為で引責辞任へ

日本経済新聞(電子版)の報道(※3)によると、「米ニューヨーク州のクオモ知事は10日、今後2週間以内に辞任する意向を表明した。3日に同州のジェームズ司法長官が、クオモ氏が複数の女性に対してセクハラ行為をしたことを認定し、同氏に対する辞任圧力が高まっていた。」と報道されていました。

また、“州司法長官は3日、11人の女性がクオモ氏からセクハラを受けたとする報告書を公表し、クオモ氏のセクハラ行為を認定した。同氏は10日、報告書について「政治的な動機に基づいたもので、真実ではない」と反論した。一方で女性に不快な思いを与えたことに関しては「深く謝罪する」と述べた。”と報じています。

セクハラ行為による引責についての賛否

「“メダル噛み”でセクハラの河村たかし名古屋市長はまだ辞めないのだろうか。」と、クオモ知事と同じようにセクハラ問題に対して真摯な対応が見せるべきだという怒りを表した投稿がみられます。

河村市長の件について、正論新風賞を受賞している作家の竹田恒泰氏は「交換が決まってよかった!とはいえ、表彰台で授与されたメダルとは異なるわけだから、問題が完全に解決したわけではない。河村市長は、取り返しのつかないことをしてしまったということ。」と責任を取るべき問題の大きさについて述べています。

反省や引責について“反省や引責も不十分なまま、河村たかし市長が「明日ハラスメント講習を受けます」と言い、メンタリストが「困窮者支援のNPOに行き教えを乞います」と言い、それをマスコミがすぐ報道するのは納得いかないな。人権問題の専門家や弱者支援のNPOが有名人の不祥事クレンジングのために利用されてるだけだ。”という関係する専門家や団体の使われ方について不信と疑問の声が上がっていました。

引責辞任を求める声に対して「辞めろ辞めろって意見多いけど大きくなればなるほど選手にも重荷になりそう」と選手への精神的な負担に配慮された意見もありました。


また「マスクをわざわざはずして金メダルを噛んだって最低」とセクハラ行為に対しての卑劣さについて嘆いている人も多く見られ、不信感をあらわにしていました。

引責の一つとして発表された給料の3ヶ月分カットというテレ東BIZの報道(※3)ついて「メダルを噛んだくらいでここまでする必要はないと思うけど。」という擁護の声もあり多くの共感を呼んでいました。

セクハラ行為に対して引責辞任したクオモ知事のように、河村たかし市長も引責辞任すべきだとした意見もありましたが、被害を受けた選手の精神的負担を考えそこまで大きな事態にするべきでは無いという見方も多く存在しました。

セクハラ行為は決して許されない行為であり、社会では受け入れられないことです。今回の河村市長の件は、多様性や周囲の尊重するという観点が欠如した結果、それが言動に現れ社会問題につながった事例といえるでしょう。

【画像・参考】
※1職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント – 厚生労働省
※2金メダルかじり「恋愛禁止か」と発言…河村市長「宝物傷つけた」と謝罪、ハラスメント講習受講へ – 読売新聞オンライン
※3新型コロナ: NY州クオモ知事が辞意表明 セクハラ認定で引責 – 日本経済新聞
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