世界的にも進んでいる、難民の受け入れ。拡大傾向にあるこの問題について、各国が対応に追われています。その一方、日本は未だ難民対応に消極的で、受け入れも進んでいないのが現状です。
世界は難民問題に対してどのような取り組みを進めているのでしょうか。
アフガン難民、最大2万人受け入れへ
BBC NEWS JAPAN(※1)によると、「英政府は17日、アフガニスタンでタリバンが実権を握ったのを受け、同国の難民を最大2万人受け入れると公約した」とのこと。ボリス・ジョンソン首相は会見で「過去20年間、アフガニスタンをよりよい場所にするため、私たちと共に努力したすべての人々に対し、イギリスは恩義がある」と述べ、積極的な難民受け入れに意欲を見せたと報じられています。
今後数年間の間に、最大2万人のアフガニスタン人がイギリスで定住できるようにするとのことです。首相の受け入れ意識や、英国市民の賛同の声を踏まえると、この受け入れ人数は今後も上昇していくことが考えられます。
英国のこの対応に対し、英政府の方針に共感するコメントがみられました。難民受け入れ時点だけでなく、受け入れ後の難民の方々の生活を考える声も多く挙がっていました。他国からの参入者という視線が、難民や移民の方々にとっては辛く感じたり、受け入れ国側の市民も迫害に近い行為をしてしまうリスクも少なからずあるようです。
同じく積極的なドイツやカナダ
イギリスだけでなく、ドイツやカナダも難民受け入れに積極的だというツイートも。
まずドイツは難民・移民の受け入れ人数が100万人を達し、今後も増える傾向にあると言われています。なぜドイツは受け入れに対し積極的なのでしょうか。
難民支援協会によると(※2)、「キリスト教の伝統と相まって市民のなかに難民保護に対する信念があること、また憲法にも難民保護の規定(庇護権)がありますから、市民の強い意志とドイツ社会がもつ包容力が100万人を超す難民の受け入れを可能にしたと思います」と考察されています。日本の場合、宗教や憲法がドイツとは同じではなく、国民の難民受け入れに対する積極性があるとは言えないことを鑑みると、大きな差と言えるでしょう。
また難民支援協会によると(※3)、カナダには「プライベート・スポンサーシップ」という民間主導の受け入れ体制が整備されているため、政府だけでなく市民側も受け入れに積極的になるシステムが整っているようです。
令和2年における難民認定者数
一方、日本は難民受け入れが進んでいるとは言えません。それに対するコメントもSNS上で散見されます。
世界各国の難民対応と同じように、日本も受け入れをするべきではないかという意見も数多くみられました。イギリスと同じく先進国でありながら、対応に二の足を踏む政府への批判の声もあります。
令和3年3月に出入国在留管理庁が発表した統計資料によると(※4)、難民認定申請者数は3,936人で、そのうち在留を認めた外国人は91人。その内訳は、難民と認定した外国人が47人、難民とは認定しなかったものの人道的な配慮を理由に在留を認めた外国人が44人とのことです。
一方で、実際に日本に難民が来ることを想像すると、受け入れを躊躇してしまうといったコメントもみられました。異なる文化の中で生活してきた人々と同じ環境で生活するとなると、お互いに理解し合わなければトラブルが起きることも考えられます。それに対して不安を抱くのも当然のことでしょう。
しかし、「遠い国のことだから」と他人事ととらえず、アフガニスタンでの難民問題に日本が何ができるのかを模索していきたいですね。
【画像・参考】
※1イギリス、アフガン難民2万人を受け入れへ タリバン復権で – BBC NEWS JAPAN
※2ドイツはなぜ難民を受け入れるのか?政治的リーダーシップと強靭な市民社会 – 難民支援協会
※3カナダの民間難民受け入れ(プライベート・スポンサーシップ)に学ぶ – 難民支援協会
※4令和2年における難民認定者数等について – 出入国在留管理庁
※Ajdin Kamber/Shutterstock