総選挙を控え、各候補者がさまざまな公約を掲げ活動していました。立憲民主党の吉田はるみ氏は「誰もが臨めば正社員になれる雇用に、雇用のあり方を変える!」と宣言し、選挙活動に取り組んでいました(※1)。非正規雇用者が年々増加している現状を改善したい、という意図があったのでしょうか。
この吉田はるみ氏の公約について、元ZOZO執行役員の田端信太郎氏がSNS上でコメントしました。なぜなのでしょうか?
「倒産する会社がでたら、誰のせいなのでしょうか?」

田端氏は「希望する人全てを正社員にした結果、倒産する会社がでたら、誰のせいなのでしょうか? まず、立憲民主党の党職員として雇ってあげなよ!」(※2)とコメント。
正規雇用を拡大した結果、非正規雇用が減って会社側のコストが増え、最終的に倒産してしまうデメリットを指摘。正社員として就職ができたとしても、その会社が倒産すれば本末転倒です。
こうした状況になることを予測した上での公約なのか、あるいは正規雇用を拡大するという一点のみで公約を打ち出しているのか。真意が見えづらい吉田氏の発信であった以上、田端氏のような声が上がることもあるでしょう。
非正規雇用が悪いとは一概にいえない

確かに、正規雇用を望んだにも関わらず、非正規で雇用されてしまう状況がある一方、あえて非正規を選ぶ人も多いはずです。正規雇用の場合、週5日間、朝から晩まで勤務するケースが多いため、家事や育児を理由に平日日中の勤務が難しく、非正規を選ぶ人も少なくないでしょう。こうした可能性を踏まえると、そもそも非正規雇用が悪とは一概にはいえないのではないでしょうか。
また、前述のように非正規雇用は会社側のコストが削減できるメリットがあります。非正規雇用を減らす政策が実現すれば、こうした会社は次々に倒産し、結果として日本経済が衰退していくのではないでしょうか。コロナをきっかけに多くの会社が倒産や赤字で困窮する現状において、さらなる経済悪化は日本にとって大きな打撃になるといえるでしょう。
一方で、吉田氏の公式HPを見ると、「女性就労者の非正規労働を減らし、正社員への道を拓く」(※3)という記述があり、当該の発言は非正規雇用の女性を正規雇用化することを訴えていたことだと分かります。というのも、非正規雇用の女性は現状45%いるとのことで、男女の賃金格差も含めて女性の正社員登用を推し進めようというメッセージのようです。
政策内容の是非は別として、政策をTwitterのショート動画で発信してしまったことによって政策のコンテクストが伝わらない点も問題だったのではないでしょうか。
数秒の動画では結論部分しか見えず、どのような問題意識があってその政策を訴えているのか国民が理解しづらい側面もあると思います。SNSが普及して実際に選挙活動の手段として取り入れる政治家の方も増えていますが、国民からの投票につなげるために、その発信の仕方にはまだまだ改善の余地があったと言えるでしょう。
【画像・参考】
※1 @CDP_tokyo/Twitter
※2 @tabbata/Twitter
※3 吉田はるみ | 理念・政策
※Miha Creative・maruco・MagicMore/Shutterstock