2015年3月28日(米時間)、米ジョンソン&ジョンソンと米グーグルは、外科手術を支援する次世代のロボットを共同開発するパートナーシップを締結したことを発表した。
この提携には、ジョンソン&ジョンソンの子会社である医療機器メーカー・エチコンも参加し、グーグルは同社が保有する医療デバイスの知的財産権と専門知識や技術を共有することが可能になる。今回開発されるロボットは、人に代わって外科手術を行うわけではなく、あくまで人が行う手術の支援を行う。
外科医を支援する最先端技術の集約へ
ジョンソン&ジョンソンとグーグルが共同開発する手術支援ロボットは、その制御能力や精度が高まることで、外科医が行う手術による瘢痕化や術後の治療を最小限に抑えられることが期待されている。例えば、外科医の裸眼による目視だけでは確認が困難な、血管や神経などと腫瘍の境界を、画像解析技術によって明確にするといった支援も行われるのだ。
あるいは、外科医の手だけではコントロールが難しい動作をロボットが制御支援することで、手術の精度を高めることができる。結果的に、手術を受けた患者にとっては侵襲性が極めて低い手術となり、ダメージが小さく抑えられるという。侵襲性とは、手術による体内の恒常性を乱すことだ。つまり、体への負担を減少させることができるということ。その結果、患者の術後回復も早くなることが期待できる。
これを実現させるために、両社は新しいロボットツールの開発も行い、画像解析技術と最先端のロボット工学、そして最先端の医療機器技術を組み合わせることになるだろう。
外科手術の進歩を加速させるか
ジョンソン&ジョンソンとグーグルが共同開発で目指すのは、ロボットによる支援を前提にした外科治療のプラットフォームだという。そして、執刀医の解析能力と施術技能を支援ロボットにより精密化し、患者への負担をより小さくすることだ。
今回の提携に関する金銭面での条件は公表されていないが、提携手続きは2015年の第2四半期中に完了するという。両社がこれまで培ってきた医療機器技術やロボット技術、画像解析技術にデータ解析技術が集結されれば、次世代の手術支援ロボット開発のコストは抑えることができるだろう。
そして何よりも、開発速度が加速するに違いない。外科手術の進歩に対するインパクトは、かなり強いのではないだろうか。
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【参考】
※ Google surgery robots – Business Insider
※ Google is making surgical robots with Johnson & Johnson – Pocket-lint