しばらく工事用のベールに包まれていた、Apple Storeの新店がついに表参道でオープンした。当日は朝から長い行列ができ、TVカメラなども見えメディア取材が入っていたようだ。
「ケヤキの樹の下で、ちょっと特別なことが始まります。」という事前の掲示を裏切らない、前を通りかかっただけでワクワクするようなその外観。写真をベースに、その様子を伝えていこう。
昼ごろの大雨が止み晴れ渡ったあとは、前面のガラスに自然光とケヤキの陰影が入り込み、ダイナミックで芸術的な印象を与えてくれた。
まるで美術館のようなその外観は、単なるアイテムショップではないと感じさせるだけの力がある。外から中がすべて丸見えなオープンさは、Apple製品がもはや世界のあらゆるシーンでスタンダードとなりつつあることをまるで暗示させるようだ。
奥の壁に掲示されたiPhone5cのカラフルなポスターが目に鮮やかだ。5cを積極的に販売していきたいのだろうか、そんな戦略も暗に伺えた。
1FはApple Storeおなじみの、実機と触れ合えるコーナー。各Retinaタイプの鮮やかな画面や、様々な機器の触り心地を心ゆくまで楽しむことができる。実機以外にはほとんど何も無い、そのシンプルさも心地よい。
Appleマークを裏から撮ってみた。夜になるとどんな輝きを見せてくれるのか、今から楽しみだ。
特徴的なのがこの、地下へと続く螺旋階段。Genius Barへアクセスできる。他のApple Storeと同様に、青いシャツを着たスタッフが数多く控えてくれているため、家電量販店で起きるような「店員さん探し」にイライラすることはない。
自然光を十分に活用した1Fとは違い地下は若干暗めだった。初日なのにもう、相談や商談をしているであろうお客さんが多数いて、早くも盛況な賑いを見せていた。
地下はこんな感じだ。壁にはいつものアクセサリーコーナー。
Appleの放つ存在感
今回、話題になったのはただ新しい店舗ができたからではない。そのデザインと立地に特徴があるのだ。単独の店舗としては日本では仙台店に次いで2店舗目となるが、仙台店の外観は世界中にあるApple Storeのそれだった。
しかし、表参道店はどうだろうか。
3方向を高さ9.5メートルのガラスパネルが囲み、中心にぶら下がるAppleのロゴが圧倒的な存在感を放っている。中からは表参道のけやき並木が一望でき、自然と一体になる空間が広がっている。
Apple Storeから表参道を隔てた先には「oak omotesando」が鎮座し、付近には團紀彦氏設計の「表参道けやきビル」、伊東豊雄氏の「TOD’S 表参道ビル」、隈研吾氏の「ONE 表参道」、SANAAの「ディオール表参道」…挙げたらキリがない程の名建築が林立しているのだ。
この名建築群の中、低層かつ、自然に溶け込んだこのApple Storeはなぜこんなに存在感があるのだろうか。それはAppleが持つブランド力に起因するものかもしれない。初日に訪問してみて、改めてそのパワーに気付いた。