センサーやコンピュータの小型化や省電力化により、IoT(モノのインターネット化)が近年進んでいる。
中でもウェアラブルデバイスといわれる、人体のどこかに装着して人の生活を豊かにしようとする分野の成長は顕著だ。この分野においては、大手の家電メーカーからスタートアップと呼ばれる新興企業までプレイヤーは様々だ。
そんなウェアラブルデバイスの開発をより早く、より精密にしようとする企業が出てきた。MADLABという新興企業だ。
手の動きを精密にモデリングする
MADLAB社が発表したのは、『Tactum』というウェアラブルデバイスを作ることをサポートするキットである。まずは下記の動画を見て欲しい。
プロジェクタによって腕に投影された帯状の光を触ったり、手を開閉することで動くことが分かるだろうか。
『Tactum』は、触る、こする、ピンチインする、突く、ねじるといった人間の筋肉の動きやジェスチャーを、3Dモデリングする。モデリングされたデータは、自分のデスクトップ内に保存することができる。そのデータを使ってたとえば3Dプリンタなどに出力することができる。
下記は『Tactum』によって作られたウェアラブルな模型である。
アナログとデジタルの中間地帯を狙う
『Tactum』が狙っているのは、アナログなモノ作りと拡張現実の間のニッチな分野を狙っていることが考えられる。
モデリングされた人固有の筋肉の動きやサイズに応じて変化させることができるため、マスプロダクトより、少量多品種の生産に向いているといえよう。たとえば個々のカスタマイズが可能な義手や、ぴったりフィットするアクティブトラッカーのバンド部分、あるいはコスプレの衣装づくりなどにも役立ちそうだ。
『Tactum』は、先月アメリカのテキサス州オースティンで開催された、音楽や映画、アートの大規模イベントSXSX(サウスバイサウスウェスト)にも出品され、4月には正式ローンチ予定だ。
『Tactum』は現在腕のみの対応だが、全身のモデリングが可能になれば、さらなる進化をみせることになるだろう。
先日FUTURUSでも紹介した2万円台の3Dプリンタ『TIKO』などと組み合わせれば、大きな施設投資をすることなく個人でもモノ作りが加速することであろう。そろそろアナタも“モノ作り”の傍観者ではなく実行者に移る段階なのかもしれない。
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