2015年4月22日に首相官邸の屋上に放射性物質を搭載したドローンが発見された。誰が何の目的で飛ばしたドローンであるか、まだ分かっていないが、ドローンが空撮や救援物資の運搬といった平和的な用途だけでなく、テロにも応用できるのだ、という思いが多くの人の脳裏をよぎったであろう。
しかし、それ以上に軍事目的での開発が進んでいるのだ。
実際、2015年4月14日に米海軍とONR(Office of Naval Research:米海軍研究局)が軍事目的のドローンに関する動画を公開した。
一体、どのようなものだろうか。
群れを成して自律飛行する軍用ドローン
公開されたのは『LOCUST』と名付けられた、群れを成して自律飛行するドローンシステムだ。
『LOCUST』はミサイルを撃ち出す様なランチャーから、次々と発射され、空中で翼を広げると自律飛行をしながら、群れとして行動できる。
米海軍としては、ドローンを活用することで兵士の安全が確保でき、また、戦闘コストも抑えられると考えているようだ。
実際、『LOCUST』は“イナゴ”を意味する単語だが、元は“Low-Cost UAV Swarming Technology”の頭文字で、低コストで『UAV(Unmanned Aerial Vehicles)』、すなわち無人機を群れさせる技術のことだ。つまり、名称にも低コストであることがうたわれているわけだ。
そして『LOCUST』を作動させれば、最大30機のドローンが発射されるというから、まさにイナゴの群れが襲いかかる様相を呈するだろう。
発射されたドローンは群れを成して自律飛行し、目的地に達すると、偵察したり敵を照射したり、あるいは自力で攻撃したりできる。
また、洋上の戦艦から発射されたミサイルを的確に誘導することもできるという。しかもこれらの任務を遂行する『LOCUST』は、1機の軍用機よりも安価なのだ。
このドローンは、1機あたりは1時間程度の飛行が可能で、最高時速は140kmに達するという。もちろん、遠隔操作も可能である。
ドローンを見たら逃げろ?
今後は艦船や特殊車両、飛行機などからドローンを発射することを目指す。実際に2016年には艦上からのドローン発射実験を行う予定だが、このときは30機のドローンを連続発射するようだ。
ドローンがテロや軍事に利用されるようになれば、我々は飛行しているドローンが近づいてきたら、恐怖して逃げたくなるかもしれない。
あるいは、ドローンをドローンが迎撃するといった光景が現実になるかもしれない。
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【参考・画像】
※ News: Autonomous, swarming UAVs fly into the future – Office of Naval Research
※ The Navy Plans To Launch Swarms Of Drones From Tubes [Video] – Popular Science