3Dプリンターが個人でも手に入るようになってきた。既に使っているという人もいるかもしれない。しかし、3Dプリンターを使っていると、さらなる欲が出てくる。カラー化だ。
マルチヘッドの3Dプリンターがあれば不可能ではない。しかし、価格のハードルが高いのだ。そこで、既に持っているモノクロの3Dプリンターからカラーを出力してしまえばいい、という“その手があったか!”と唸ってしまうような製品が登場した。
モノクロの3Dプリンターに、事前に出力するモデルに合わせて合成された4色のフィラメントを送り込む『Palette』だ。既にクラウドファンディングの『Kickstarter』で、あっという間に目標資金の調達を達成してしまった。
3Dプリンターでカラーを出力する逆転の発想
現在広く普及している安価な3Dプリンターは、主にFDM方式を採用しており、棒状のフィラメントを加熱して溶かしながら立体に重ねて出力していくタイプだ。
この方式でカラーを出力しようとすると、色の数だけノズルを増設しなければ成らない。また、ノズルが増えればキャリブレーションも高度になる必要がある。
そこで登場した『Palette』は、3Dプリント工程のもっと手前に注目した製品だ。ノズル側をどうにかするのではなく、フィラメント側をどうにかすればいいのだと考えた。
つまり、出力するオブジェクトが希望通りのカラーになるようなタイミングで、出力されるフィラメントの色が変わるように準備してあげればよいのだ。
そこで『Palette』は、最大4つのフィラメントを、出力する3Dモデルがカラーになる様に適切な長さで4色のフィラメントをつなぎあわせてくれる。
3Dプリンターは1.75mmフィラメント対応のFDM/FFF方式である必要がある。
その3Dプリンターが、『Palette』で1本につなぎ合わされた4種類のフィラメントを取り込んで、3Dオブジェクトを出力すると、必然的に4色あるいは4つの素材が合成された3Dオブジェクトができあがるという仕組みだ。
『Palette』は4つの色だけでなく、4種の素材を合成できるので、例えば導電性のある素材などを組み合わせに加えれば、回路を含んだ部品が出力できる。
また、モデルデータは従来のソフトが利用できる。但しそのデータを『Palette』のアプリに送信する必要はある。
すると『Palette』のアプリ側で、フィラメントの色の長さと組み合わせ型が自動的に調整されるのだ。
つまり、手持ちの3Dプリンターにはハード的に手を加える必要はないし、買い換える必要もない。これは嬉しい。
手持ちの3Dプリンターを改造も買い換えもしなくてよい
『Palette』の考え方は多くの指示を得られたようで、『Kickstarter』では本稿執筆時点で既に目標額の約2倍の資金を調達できている。3Dプリンターを買い換えたり改造したりせずにカラーや複合的な素材の立体が出力できることは、かなり魅力的だ。素晴らしい発想だと思う。
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【参考・画像】
※ The Palette: 3D Printing Evolved by Chris Labelle &mdash – Kickstarter