現地時間2015年5月6日、米IBMはFacebookと業務提携を結んだことを発表した。ブランド向け広告ツール提供に関する提携だ。同日からIBMのマーケティング・クラウド顧客は、IBMの解析機能とFacebookの広告機能を併用できることになった。
このことで、精度の高いFacebookの広告機能を利用できるようになるという。Facebookのデータだけでなく、IBMのマーケティング・クラウドからこれまでの商品の購入履歴や位置情報、天候に至るデータが広告活動に活用できる。
また、Facebookで成果を上げた広告を、他の媒体でも利用できるようになる。
ビッグデータを掌握する者たち
FacebookとIBMのデータを併用できることは大きい。Facebookには14億4,000万人のユーザーがあり、これらのユーザーが毎分130万件のコンテンツを作りだしているのだ。
そしてこれらの膨大なビッグデータをIBMの解析ツール『Journey Analytics』で分析することで、潜在顧客をあぶりだしたり、ユーザーたちが関心を持っている物事と行動の関連性を浮かびあがらせることができるからだ。
その結果、よりユーザーに特化した関連性が高い広告を表示することが可能になる。広告主となる顧客企業からすれば、アプローチすべき消費者を把握でき、広告のだし方も、より効果的にできるわけだ。
また、Facebookで成果を上げた広告やキャンペーンを、他のブランド・チャネルであるウェブサイトやモバイル・アプリなどに展開することも可能になる。IBMはFacebookとの業務提携と同時に、FacebookがIBMの新たな取り組みである『IBM Commerce THINKLab』に参加する最初の企業であることも発表している。
この『IBM Commerce THINKLab』というのは、顧客体験のパーソナライズ化技術を開発する取り組みだ。
消費者はどこまで見透かされるのか
と、ここまで書いてきても、IT関連の用語や言い回しは分かり難い。いったい、どんなことができるのか? IBMのプレスリリースでは次の様な例が記載されている。少々かみ砕いて紹介したい。
ある小売業者が、ランニング用グッズの新商品ラインナップの販売を開始するとする。このとき、FacebookのCustom Audiencesと顧客特定ソリューションを利用して、ランニングに関心があるユーザーを分類できる。そして彼らの好みや位置情報、気候ごとに適したグッズを提案するのだ。
つまり、膨大な数の消費者の一人ひとりに対して最適化された広告を提示できることになる。消費者から見れば、「そうそう、こんな物が欲しかったんだ!」という反応をしてしまう可能性が高くなるわけだ。
気が利いているといえば聞こえがよいが、見透かされていると解釈すれば、何やら空恐ろしくもある。
もし、自分が欲しかった物やサービスについて、やけに核心を付いてくる広告ばかり目にする様になったなぁ、と感じたら、その背後には、ビッグデータを操る彼らが存在しているのかもしれない。
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【参考・画像】
※ IBMとFacebookが、生活者に根ざしたマーケティングによる パーソナライズ化したブランド体験の実現に向けて業務提携 – Japan