垂直のガラス面でもすいすいと上ってしまうヤモリ。秘密は自由に引っ付いたり剥がしたりできる足の吸盤にある。そこで、この吸盤を真似て吸着原理を応用した小さなロボットを開発したのがスタンフォード大学の研究チームだ。
足の裏に取り付けられた接着剤と特殊な構造を使って踏ん張り、なんと自分の重量の100~2,000倍の重量を移動させることができるという。
重くなるほどしっかり吸着する仕組み
公開された動画では、小さなロボットが自分の数倍の物体をぶら下げたまま壁を上ったり、コーヒーが入ったカップを引きずったり、重そうなおもりを引っ張ったりしている。
研究チームによれば、これらの小さなロボットが踏ん張ることができるのは、ヤモリの足裏の微細な構造を原理的にまねした粘着能力によるものらしい。
特殊な接着剤が、微細なスパイク状の構造面に塗布されている。すると重量が加わるとくっつき、重量が加わらない時は簡単に剥がれる吸盤のような働きをする。
ロボットは、重量がかかって壁や床に吸着しているときに、重い物体に繋げられた糸をモーターで巻き取って動かしているのだ。
この仕組みにより、9gしかないロボットが、1kgの物体を運ぶことができ、12gのロボットでは、なんと自分の2,000倍の24kgの荷物を運ぶことができるという。
いったいどのような構造になっているのか。
『μTug(マイクロタグ)』と呼ばれているロボットでは、底面の殆どが『Tile』という吸着面になっている。この『Tile』を、荷物を巻き取るときだけ床などに吸着させているのだ。
この『Tile』の表面には、微細なスパイク状の突起が並んでおり、力が加わると突起が曲がり、接地面が大きくなる。
その大きくなった接地面に、特殊な接着剤が塗布されている。
この仕組みによって、力が加わったときだけ吸着することが可能になっている。
ヤモリの仕組みを応用する
このヤモリを真似たロボットにはまだ欠点があり、平らなところでないと吸着できないことや、接着剤を接着面に供給し続けなければならない、といったことだ。
しかし、研究チームはこの仕組みを発展させることで、建設現場や災害時の人命救助で役立てられないか可能性を探りたいとしている。
自動車メーカーなどでは、ガラスの設置作業に使えないだろうか、と考えている所もあるそうだ。自然界には、まだまだ多くのヒントが隠されているのだろう。
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【参考・画像】
※ These Adorable Tiny Robots Can Pull Up To 2,000 Times Their Weight