NASAは積極的に一般のひとの力を借りようとしているようだ。いつからそうなのかはわからないが、双方向の交流が非常にやりやすくなった現代では有効な方法だろう。以前も当サイトで、小惑星発見イベントを紹介したが、今回はより専門的だ。
NASAが有人火星探査のための各種ソリューションを募集している。求められているのは夢物語的なアイディアではない。ガチだ。
火星旅行に必要な要素を開発せよ
NASAは現在、火星有人探査のミッションを計画している。それにともなって、宇宙開拓に必要な要素のアイディアの一般公募を開始した。たとえば、シェルター、食料、水、呼吸するための空気、通信、エクササイズ、社会的な交流そして医薬品といったものだ。
しかし、むしろそういった既存の例を超えるような革新的で創造的な要素こそが求められているともいえる。
参加者は、技術的に可能で、経済的に持続可能で、地球からの手助けが最小限で済むようなシステムやオペレーションを記述してNASAに送る。NASAは3つの賞を用意していて、賞金は5,000ドルから。用意される賞金総額は1万5,000ドルになる。
地球からの補給はあてにできない
NASAの有人火星探査プロジェクトはすでにはじまっている。軌道上からの火星観察、そして火星表面の探査に加えて、国際宇宙ステーションでは、人体に与える影響が研究され、次世代のロケットや宇宙船の開発も行われている。
火星に向かう宇宙船で運べるものの重量や大きさは限られる。そして、最低でも500日間は地球からの補給はない。有人火星探査には、地球の資源から独立した革新的な手法が必要になる。
NASAは技術的な提案を募集している。その手法は、仮定、分析、データ、そして価値の根拠が示されたもので、提案書は、開発プロセス、試験方法、実行、運用方法などを含んだものでないといけないだろう。
提案書は、妥当性、創造性、簡便性、資源効率性、実現可能性や包括性、拡張性などにおいて審査される。興味があるひとは、下のリンクの、NASA Challenge: Space Pioneering – Achieving Earth Independenceのページをご覧いただきたい。
近年、政治的、社会的ムーブメントはソーシャルネットワークで活発になることが多い。そういう意味では、大きなミッションが、選ばれた一部の専門的なひとたちだけで行われるのではなく、一般のひとたちが直接かかわりやすくなってきたといえる。じっさいに、宇宙開発などはさまざまなジャンルのテクノロジーが融合しているはずなので、個別の専門ジャンルの技術者はNASAとはぜんぜんちがう場所にいることもじゅうぶんありえるだろう。こういった公募が、イノベーションをどんどん促進することになるかもしれない。
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【参考・画像】
※ NASA
※ NASA Challenge: Space Pioneering – Achieving Earth Independence