米国では最近、AmazonやCNN、それに鉄道会社のBNSFらがFAA(連邦航空局)から、ドローンのテスト飛行の許可を得たなど、ドローンの商業用利用が急速に進んでいるかのようにみえる。ところがどっこい、農業でのドローン利用に関しては、米国は日本より20年以上も遅れていたのだ……ということを、筆者も知らなかったので驚いた。
2015年5月5日、農薬散布用の産業用無人ヘリコプターであるヤマハ発動機の『RMAX』が、ようやく米国での利用が認可されたのだ。広すぎるので有人機が使われていたということかもしれないが、あの広大な農場を持つ米国で、今まで使われていなかったことにも驚いた。
米国ではこの認可が、農業以外でのドローン利用拡大へのステップであるように報じられている。実はヤマハは20年にわたり農薬散布用の無人機を農家に販売してきたが、開発の歴史はかなり古く、無人機第一号の『RCASS』は1983年に開発が始まっているので、なんと32年も前から着手していたことになる。
その結果、今では日本の水田の約4割で無人ヘリコプターが活躍しており、2013年度の普及率は2,500機以上だ。農業に関していえば、日本はドローン先進国だといえる。
FAAが農業でのドローン使用を認可
米国で初めて農薬散布用の大型無人機として使用が認可されたのは、ヤマハ発動機の『RMAX』で、ローターを含んだ全長は3.6mとかなり大きなタイプである。
これだけ大型であるため、農薬は16kg積載・散布することが可能だ。力強い飛行をみていると、なんだか人がぶら下がれそうな気がするが、もちろんそのような用途は想定されていない。
カリフォルニア大学デイヴィス校では、『RMAX』を使った水の散布実験を成功させている。しかも米国仕様の『RMAX』は、94kgもの荷物を運べるというから、やはり人一人くらいは運べてしまうのだ!もちろん、許可されていないが。
実験の結果、カリフォルニアの丘陵地帯のブドウ畑など、有人機ではアプローチが困難な地形での農薬散布には、『RMAX』が適していることが分かったという。
今回の『RMAX』使用認可について国際無人車両システム協会(Association for Unmanned Vehicle Systems International)は、他業界でもドローン利用が有益であることを認識させる機会になるとみている。
普及と共に規制がかかり始めたドローン
しかし、まだまだFAAはドローンの商用利用に慎重だ。前述の通りAmazonやCNNなどに規制の緩和を示してはいるが、人が多いところでの飛行は規制が多く、操縦者が直接目視できることが条件であるなど、企業側の要求を十分には認めていない。
日本でも総理大臣官邸の屋上にドローンが見つかった事件をきっかけに、自民党は特定施設の上空でのドローン飛行禁止に関する法案を2015年5月13日にまとめている。
急速に普及を始めたドローンに対し、各国が規制を設ける動きを始めている。
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