様々な3Dプリンターが登場している。樹脂を出力するスタンダードな物から、金属を出力する物、チョコレートを出力する物など、様々な素材にチャレンジが続く。そしてここで、硬いものばかりではなく、ふわっとした、ぬいぐるみのような柔らかい物を立体で作れないか、というチャレンジが始まった。
チャレンジしているのはDisney Researchと米カーネギーメロン大学だ。彼らは、フェルトを素材にした3Dプリンターに挑戦している。なんとしても、柔らかな素材でディズニーキャラクターを出力したいのだろうか。
しかしそれは、確かに3Dデータを活用しているが、プリンターというよりは、カッティングマシンだった……。
3Dデータからフェルトで立体を作りだすプリンター
Disney Researchと米カーネギーメロン大学が共同で開発したのは、3Dデータからフェルトを素材とした立体を作りだそうという3Dプリンターだ。
プリンターといっても、溶解された素材を出力して固化するのではなく、板状の厚みのあるフェルトを、3Dデータをスライスした形状に合わせてカッティングし、何枚も重ねて立体に仕上げるという仕組みだ。
確かに、これくらいの発想の転換がなければ、フェルトで立体を作ることは難しそうだ。
この3Dプリンターには、感熱性接着剤が塗布された板状のフェルトがロール状に巻かれてセットされている。
そのロールから、カッティングに必要な面積分だけ引きだされ、3Dデータをスライスした形状にレーザーでカットされる。このカット作業が繰り返されると同時に、カットされたフェルトは接着されて重ねられていく。
3Dモデルをスライスした形状で、カットされたフェルトが重ねられて接着された結果として、3Dモデルと同じ立体がフェルトで形成されているはずだ。
しかしできあがったフェルトは単なる立方体になってしまっているので、ここからは手作業で余分な外側のフェルトを取り除いてやる。
すると、中から3Dモデルに合わせてカットされ重ねられたフェルトが立体となって現れるのだ。できあがったサンプルをみると、スライスの段階が粗いため、本来は滑らかな曲面にしたい部分が階段状になってしまっている。
これはフェルトの板を薄くして、スライス数を倍増すれば解消されるはずだが、現在の技術ではカットする枚数が増えた分だけとてつもなく時間が掛かってしまうのだという。
仕組みはできた!あとは高速化と高品質化が課題だ
とりあえず3Dデータから自動的にフェルトで立体を作りだす仕組みはできているが、その完成品はかなり粗い。しかし、この仕組みが高速化かつ高品質化すれば、確かにコンピュータ上でモデリングした3Dデータが簡単に柔らかな素材の立体として出力できる。
例えばディズニーの豊富なキャラクターを様々なポーズにしてフェルトでプロトタイプとして出力すれば、その仕上がりと感触を確認することが容易になるだろう。
ただ、プリンターもできあがったフェルトの立体物も、市販するにはまだまだ改良が必要だ。
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