太陽光で繁殖する藻類の生態を利用
実物大のプロトタイプであるこのキャノピー、製作はイギリス・ロンドンを拠点とする建築系デザイン会社、ecoLogicStudio。目的は、“エコな都市建築物の新ビジョンを提案する”ことだ。
ポイントは、前述の壁や天井部分。材質は、ETFE(フッ素樹脂)を皮膜加工したもので、3層構造などで高い透明度と耐久性を実現。中には、極小の藻類が入った水溶媒が通る水路がいくつもある。
藻類は、ご存じの通り、太陽の光で光合成をして育つ。なので、例えば太陽が昇りキャノピーに日光が差すと、藻類が光合成をして繁殖するため水溶媒は一気にグリーンになる。これにより、キャノピー内がシェード(日陰)となり、中にいる人はとっても快適に。藻類の生態をうまく活用できるのだ。
人の動きで水中の藻類の量も管理
極小の藻類が入った水溶媒が壁や天井に流れる量は、デジタル技術との組み合わせでコントロールが可能だ。
キャノピーに人が近づいてくると、センサーが感知して電子バルブが作動し、キャノピー内へより多くの水溶媒を流し込むようになっている。これにより、人が増えれば増えるほど壁や天井を流れる藻類の量が増え、キャノピー内はより日差しをカットできることになる。
藻類を使うメリットは他にもある。光合成時に酸素をだすからだ。このキャノピーは、森林地帯4ヘクタールで生産されるものと同量の酸素を生成。バイオマス(生物の量)を一日当たり150kg、自然野菜のタンパク質量を60%増加させることが可能だという。
自然の生態とデジタルを統合させた“バイオデジタル”という考え方は、いいことずくし。これからの都市建造物にとって、重要なキーワードのひとつになりそうだ。
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【参考・画像】
※ BioCanopy EXPO – ecoLogicStudio
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