『免疫チェックポイント阻害療法』というガンの治療方法が研究されている。免疫療法というと、これまではひたすら免疫力を高めることで、つまりはガン細胞に対する攻撃力を強化していた。
ところがガン細胞には、免疫の働きを阻止する機能があったのだ。これではいくら免疫力を高めても、肝心のガン細胞には効果が無い。この免疫の働きにブレーキを掛けている部分をチェックポイントと呼ぶ。
そこで逆転の発想が必要になった。つまり、ガン細胞が持つ免疫にブレーキを掛けているチェックポイントを阻害することで、免疫からの攻撃から逃れられないようにするという治療法だ。これを『免疫チェックポイント阻害療法』と呼ぶ。
ガン細胞の遺伝的特徴を事前に把握する
この免疫チェックポイント阻害療法に適しているかどうかを簡単に素早く調べる方法を開発したのが英国バーミンガム大学の研究グループだ。同グループは、3月23日のOncoImmunology誌で、研究内容を報告している。
この研究では、大腸ガンになった人からガン細胞を取り出し、その遺伝子を調べた。その遺伝的な特徴を、膨大なデータベースで分類された4つのグループと比較する。
免疫反応を抑える仕組みが強いグループで有ることが分かれば、それは免疫反応を抑える仕組みを阻害してやることでガン細胞は免疫からの攻撃を受けやすくできることがわかる。つまり、事前に免疫チェックポイント阻害薬の効果が期待出来るガン細胞かどうかが分かる事になる。
ガン患者一人ひとりに最適な治療方法を見つける
4つのグループには、免疫反応を抑える仕組みが強いものや、免疫反応を抑える仕組みが弱いグループがあった。
このようなガン細胞の遺伝的特徴が事前に分かれば、どの治療方法がもっとも効果的であるのか、治療を試す前に分かる事になる。ガンと一言でまとめてしまうと、同じ治療法を施しているにもかかわらず、治療効果がある人と、副作用ばかり出てしまう人が生じてしまうのだ。
つまり、同じガンでも治療方法は人によって(というか遺伝的特徴によって)異なるべきなのだ。そのためにも、ガン細胞の遺伝的特徴を研究する意義は大きい。
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