水に浮くほど軽量な金属が開発された。これは応用範囲が広そうだ。これまで、木やプラスチックを利用していた部分も、この金属に置き換わるかもしれない。
研究者達は、この水に浮く程軽い金属のデモを行ってみせた。この金属は水に浮くだけでなく、耐熱性にも優れているという。例えばこの金属でボートを造れば、例えば穴が空いても沈まないのかもしれないし、自動車に利用すれば、格段に燃費が向上するだろう。
水よりも軽く丈夫な金属
シンタクチックフォームという気泡状の中空を持つ素材は以前からあるが、軽金属マトリックスシンタクチックフォームとしては初めて開発された素材になる。開発したのはDeep Springs Technology社とニューヨーク大学工学部の研究チームだ。
この金属はマグネシウム合金マトリックス複合体を炭化珪素中空粒子で強化したもので、1立方センチメートル辺りの密度は0.92gと水よりも低い。しかも海洋の厳しい環境にも耐えうる強さを備えているという。
近年、自動車や船舶では重い金属部品に代わるポリマーマトリックス複合材料の開発に注力してきた。この度開発された金属の完成度は非常に高く、3年以内にはテスト用のプロトタイプ開発に進められそうだ。
例えば、米国海兵隊で開発されている超ヘビーリフト水陸両用コネクタ(UHAC)などの水陸両用車に利用すれば、軽量で高い浮力が期待できるという。
水より軽い金属は様々な分野への活用が期待される
しかもこの金属の中空粒子構造は、衝撃を吸収するため、密度を変えることで用途に応じて適切な強度や軽さの合金にカスタマイズする事も可能だ。
例えばボートの床、自動車の部品、装甲車の部品など、様々な用途が考えられる。軽量ということであれば、飛行機にも使えるのではないだろうか。自転車に使えば軽くて丈夫そうだ。
また、泳げるロボットなどにも利用できそうだ。ターミネーターが泳いできたら怖いが。水に浮く金属は、様々な分野から期待されるだろう。
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【参考・画像】
※ A Metal Composite that will (Literally) Float Your Boat – NYU Polytechnic School of Engineering