米国の各州は現在、米環境保護庁(EPA)が『クリーン電力計画(Clean Power Plan)』で示された2030年までに達成すべき二酸化炭素排出削減目標に取り組んでいるが、これがなかなかに難しいようだ。そんな中、地続きならではの助っ人が現れた。カナダである。
米シンクタンクのC2ES(気候エネルギーソリューションセンター:the Center for Climate and Energy Solutions)の報告によれば、カナダの水力発電で発電された電力を米国が輸入することで、米国のいくつかの州が二酸化炭素削減目標を達成することをサポートできるとしている。
例えばミネソタ州、カルフォルニア州、マサチューセッツ州、ワシントン州などだ。既に10を超える州がかなりの電力をカナダから輸入しているという。
カナダの水力発電で二酸化炭素排出量目標を目指す
『Canadian Hydropower and the Clean Power Plan』と名付けられた報告書では、米国がカナダからさらなる水力発電による電力の輸入を行う可能性を探っている。
そして、二酸化炭素排出量削減の目標を達成するために、水力発電の電力を輸入することをEPAが許容する計画についても調査している。カナダでは既に電力の60パーセントを水力発電で賄っており、この能力をさらに増大させようとしているのだ。
一方、米国では既に10以上の州がカナダからかなりの量の電力を輸入している。報告書によれば、控えめにみてもカナダの新たなプロジェクト(250MW)から電力を輸入すれば、『Clean Power Plan』が目指す2030年の二酸化炭素排出量目標値とのギャップを埋めるための支援になるとしている。
例えばミネソタ州は目標値の約20パーセントを賄うことができ、カリフォルニア州やマサチューセッツ州、そしてワシントン州では、それぞれ目標値の約3割を賄うことができている。
各州の政策に水力発電の輸入を加える
C2ES代表のBob Perciasepe氏は、水力発電はゼロ・エミッションに貢献することができ、風力や太陽といった不安定な発電システムのよい補助システムとなれると説明している。もちろん、水力発電の開発自体も、環境影響を可能な限り小さくするように行わねば成らない、とも語っている。
報告書では、各州がカナダの水力発電を輸入することで『Clean Power Plan』を実施するための段取りについても示している。
そしてC2ESは、カナダからの水力発電電力を輸入することが、各州の政策の一つとして選べることを示すことで、『Clean Power Plan』に対する柔軟性が高められるとしているのだ。
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