先日(5月14日)、FUTURUSでもPM2.5が脳梗塞や認知症を引き起こす恐れがあるとの恐ろしい記事が紹介された。大気汚染を解決するには元から改善せねばならないのだが、これがなかなか難しい。
技術的な課題だけではないからだ。経済上、政治上のしがらみが根本的な解決を困難にしているのだろう。そのように、大気汚染の発生源の改善に時間がかかるのならば、自分たちが暮らしている場所の方を、大気汚染から逃れられるようにカバーしてしまってはどうか。そんなプロジェクトが進んでいる。
大気汚染から守られた街を造る
そのプロジェクトの名は『Bubbles』という。建築デザイン会社ORPROJECTが提案しているものだ。生活空間を巨大な蚊帳で覆ってしまったような構造物で、綺麗な空気を維持しようというものだ。
『Bubbles』では、巨大な公園を中心として、周りを居住や各種施設のための建築物で囲み、その内側を透明なカバー覆ってしまおうというのだ。
その中には植物園も併設し、公園内の温度と湿度は年中快適な範囲で一定に保たれる。また、空気も常にクリーンな状態に保たれている。
公園を囲んでいる周辺の建築物には、マンションからショッピングモール、オフィス、スポーツ、医療機関など、生活に必要な施設が用意される。
街を覆っている軽量構造の膜は、葉や蝶の羽にある静脈の発達をシミュレーションするアルゴリズムを利用して設計されているらしい。
空気の加熱や冷却は、地中の熱交換システムが利用されるそうだ。また『Bubbles』の電力は、天蓋の表面に組み込まれた太陽電池によって賄われる予定だという。
街を巨大な植物園にしてしまう
つまり『Bubbles』は、世界中にある植物園を巨大化したものと考えるとイメージしやすい。
植物園は、透明な建築物に覆われ、植物が健康を維持できるように空気や温度、湿度がコントロールされている。その植物園の透明な建築物が、街全体を覆ってしまえば汚染された大気から守られるということだ。
大気汚染の根本的な問題が解決されなければ、このような巨大な植物園のようなSFチックな街が、各地に登場するようになるかもしれない。
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