「節電のご協力をお願いします」「ピークカットにご協力を」。こうしたワードを今年の夏もおそらく見聞きするだろう。しかし今カリフォルニア州では「家庭で節電してくれたらお金を払います」というアプリが登場しているという。
節電でお金がもらえるアプリ
『ohmconnect』というこの節電アプリを利用するには、まずスマートメーターが必要だ。家庭のスマートメーターとリンクすると『ohmconnect』はあなたの家庭の電力使用状況のチェックを始める。『ohmconnect』はカリフォルニア州の電力市場もチェックしていて、電力需要が高まったときには『#OhmHour』というメッセージをユーザーに通知して節電を呼びかけるのだ。
このメッセージに応じたユーザーが通常の電力使用量よりも節電すると、『ohmconnect』にポイントがたまる仕組みだ。節電はコンセントを抜く等の手動の方法だけでなく、ネット接続したスマート家電を自動的に節電することもできるという。ポイントは年間で50ドル~150ドル分程度になり、PayPalで現金化またはNPO等への寄付が可能だ。
お金はネガワット市場から
ユーザーがもらうお金は誰が払うのだろうか。それはグリッドを管理して電力市場を運営する『California Independent System Operator(CAISO)』だ。節電することで“使われるはずだった”分の電力はネガワット(節電電力)と呼ばれ、『CAISO』はこれを電力市場で取引している。『ohmconnect』はユーザーのネガワットを市場で売ることで取引額の20%を手数料として得ているという。
『CAISO』がネガワットを買うのは、グリッドの電力をなるべく“安く”安定供給するためだ。電力需要が高まると、電力が不足する前にピーク電源から購入する必要がある。しかしこのピーク電源の電力というのが高額なのだ。そこでこの高額電力を仕入れずに済むように節電してくれるなら、その貢献者に対してピーク電源に支払うはずだった金額の一部を支払おうというのだ。
日本でも来年から実現?
『ohmconnect』を開発したのは2014年設立のスタートアップで、今後カリフォルニア州以外へも展開していくとのこと。これまでのがんばる節電の次は、アプリでの“かんたんで稼げる”節電が広まるかもしれない。
こうした節電インセンティブの提供は、日本では法人やマンション向けには行われている。例えは新電力会社である株式会社エネットの『EnneSmart』サービスだ。同社は来年の電力小売自由化で、家庭向けのサービス提供も展開していく方針だという。日本での動向も注目していきたい。
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【参考・画像】
※ ohmconnect
※ Ohmconnect Debuts New Demand Response Model – greentechmedia
※ Miami Summit Showcases Civic Tech Startups – Government Technology
※ CAISO