過去の多くの問題点を解決し、また様々な新機能が追加され過去最高のWindowsになるとも噂される『Windows10』。
今まで約3年ごとに最新版のOSを出し続けてきたMicrosoftだが、この『Windows10』が“最後のWindows”になると明言している。つまり『Windows11』はないということだ。
メジャーアップデートはもう無い・・・わけではない
Windowsの新しいバージョンはもう登場しない、というわけではない。あくまで『Windows10』という名称はそのままでWindowsアップデートを用いて最新機能の追加やセキュリティのアップデートが行われるということだ。
つまりこれは、我々はもう“新しいWindowsを買う必要がない”ということとほぼ同じ意味になるのだ。細かいセキュリティや不具合のアップデートはもちろんのこと、数ヶ月から1年ごとに大幅アップデートを行ってくれるのである。
ただ、『WindowsXP』の時のように、OSのサポートが終了したからといってPCごと買い換える必要はなくなるかもしれないが、OSの最新機能を使うのにハードが対応していないからという理由で、買い換える必要はあるかもしれない。
しかしMicrosoftにとってみれば、この決断は今までOS販売で手にしてきた利益を失うこととほぼ同義になるのだ。
パッケージビジネスの終焉
Microsoftは今まで20年以上OSパッケージの販売で莫大な収益を上げてきた。
約3年ごとに新しいOSを発売することで買い換えを促してきたのである。そのタイミングに合わせ、性能が次代遅れになったPCを買い換える人も多かったのではないだろうか。このお陰でPCメーカーはPC販売で右肩上がりの売上げを計上でき、Microsoftも安定した売上げをあげることが可能だった。
しかし時代は進みハードウェアの性能向上も鈍化し、PCに求められる機能もほぼ満たされるようになると消費者は買い換えを渋るようになり、この安定していたビジネスモデルにも陰りがみえはじめた。
さらに、スマートフォンやタブレットの登場に伴うPC利用率の低下や、OSのパッケージビジネスを行わなくなったAppleの台頭などにより、消費者に数万円でOSを売るということが難しくなってきたのだろう。
サブスクリプション化での収益化に向かう?
OSのパッケージで収益を上げをあげなくなると、今後どこで利益を上げればいいのだろうか。考えられるのは2つある。
1つは『Office365』のようにサブスクリプション(月額課金)制をとる方法だ。実際にMicrosoftは『Windows365』という名称に対して商標を取っており、このビジネスモデルが一番現実的だと考えられる。
もう1つは『Windows』というエコシステムを構築することだ。分かりやすい例はAppleだろう。同社のOSXやiOSは無料で常に最新版にアップデートできるが、その代わりハードウェアの販売やiTunesStore・AppStoreでのコンテンツ販売などでも莫大な収益を上げている。
ソフトウェアメーカー“Microsoft”とハードウェアメーカー“Apple”という違いがあるため一概には比較できないが、MicrosoftはSurfaceやHoloLensなど近年全力で新ハードを発表し続けているのも事実だ。
Windowsを無料で提供する代わりに、周辺ビジネスで上手く利益を上げる仕組みの構築も狙っているのは間違いない。ただ、それだけでカバーできるほど大きく成長しようしているか否かは不明確だ。
Microsoftでは現在これまでのビジネスモデルを転換する大きな変化が訪れている。この変化を起こしているのは昨年2月にCEOの座についたサトヤ・ナデラ氏だ。
同氏がCEOについてからMicrosoftは様々な分野で大きな方向転換を行っており、その中でも特に大きいのが今回の『Woindows10』だろう。この大きなビジネスの変化が、Microsoftにどのような変化をもたらすのか。今後も目が離せない。
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【参考・画像】
※ Windows 10 Will Be Microsoft’s Last Version of Windows – IGN