模型だけではなく義手や顎の骨の代わりなど、様々な活用例が話題となっている“3Dプリンター”。近頃海外では衣服までも3Dプリンタで作れてしまうという印刷システムが海外で注目されていることはご存知だろうか?
繊維をスプレーのように吹き掛ける特殊技術
そのシステムは『Electroloom』というもので、クラウドファンディングの『Kickstarter』にて出資を募っている。
『Electroloom』の使用方法だが、まず衣服を着る人のデジタルデータを計測し、型としてシステム内に設置する。
すると吹付型のノズルが作動し繊維がスプレーのように吹き掛けられるので、その繊維を繫げていくという仕組みになっている。
この繊維を吹きかけるという技法は、スプレーで服を作る技術の『Fabrican』からヒントを得たもので、近々ポリエステルや綿以外の繊維の採用も検討中とのことだ。
この『Electroloom』を使って作成された服がこちら。
通常の衣服と比べるとしわや袖の部分が目立ってしまうが、現在の『Electroloom』はプロトタイプなので品質の向上も充分に期待できるだろう。
3Dプリンターで作られる衣服の可能性
この服で1番注目したいのは“縫い目がない”という点だ。
今までの衣服はプリントなどを施す際、縫い目に気を遣ってデザインや印刷をしなければいけなかったが、この服は縫い目を一切必要としないので服のデザインの幅が広がっていくという可能性も秘めている。
さらにサイジングという面でもフィットする服をより正確に作ることができるので、もしこのシステムが普及したならば“3Dプリンターの服の専門店”などもでてくるかもしれない。
この『Electroloom』の『Kickstarter』プロジェクトは、現在目標額を大幅に上回る出資を得ている。
これまでのプロトタイプの製作数を考えれば正式な製品化にはまだ時間が掛かりそうだが、新しいデザインの基盤となりうる存在なのでプロジェクトの成功を祈りたいところだ。
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