以前、テスラモーターズが家庭用とオフィスビルなど用のバッテリー製品『Powerwall』と『Powerpack』の予約販売を開始したことを紹介した。
それを追う様に、ドイツの自動車大手ダイムラー社も、家庭用や商業用のバッテリー製品を9月から発売することを6月9日(現地時間)に発表した。
ブランドとしては傘下のMercedes-Benzブランドになるが、価格などは未定だ。
そして実際の製造・販売は、子会社であるドイッチェ・アキュモーティヴ(Deutsche ACCUMOTIVE)社が行う。
同社は2009年に設立され、Mercedes-Benzブランドの『スマート』など、電気自動車やハイブリッド車の車載用リチウムイオン電池を製造してきた。
同社は、これから車載用以外のバッテリー市場に打って出ることになる。
蓄電池市場は、テスラモーターズやダイムラーの様な、自動車メーカーが参入することで一気に製品の小型化などを中心とした高機能化が加速しそうな気配だ。
産業用で先行利用されている実績
発表された定置型蓄電池はMercedes-Benz用のユニットをモジュール化したものだ。
個人向けには2.5kWのバッテリーモジュールを用意し、8個のモジュールを組み合わせることで20kWの容量を実現する。
また、工業用には5.9kWのモジュールを展開し、こちらは組み合わせの上限は設定されていない。
モジュール1つのサイズは、46.3×42.5×29.5センチで重量は28キロ。家庭用に推奨しているのは2モジュールとのことだが、テスラの壁掛けタイプを意識しているので、こちらも壁に掛けられるとしている。
実は同社の定置型蓄電池は、産業用としては既にリチウムイオン蓄電池ユニットがドイツの電力網で活用されている。運用はパートナー企業であるドイツMobility House社とドイツGETEC Energie社による合弁会社のCoulomb社が行っている。
具体的にはカーメンツ(Kamenz)とザクセン(Saxony)の両地域で、電力負荷の平準化を担っているのだ。
これらの地域で使用されている蓄電システムは、蓄電モジュールを96個つなぎ合わせたものだという。
その結果、現在は500kWの電力容量だが、今後は3,000kWまでの拡張を見据えているようだ。
自動車産業から生まれる新たな産業
ダイムラーの定置型蓄電池は、6月から予約販売が開始される予定だ。
また、これから定置型蓄電池市場に打って出ることで、ドイッチェ・アキュモーティヴ社は現在約250人の従業員を、2016年までに倍の人数にする見込みだ。
生産能力も当然増強するから、新たな投資と雇用が(ドイツ全体から見れば微々たるものとはいえ)生まれることになる。
そしてこの市場の拡大で再生可能エネルギー産業も拡大すれば、両産業がお互いの成長を刺激することになるだろう。
電気自動車やプラグインハイブリッド車を支える産業が、新たな成長産業を生み出そうとしているのかもしれない。
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【参考・画像】
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