都市を移動する次世代モビリティとしては、1人乗りの小型EV(電気自動車)なども最近注目されているが、ここで紹介する『GinzVelo』は電動アシスト3輪自転車。電気モーターだけでなく、人力も使って移動するという新発想の乗り物なのだ。
人力をアシストして走る
開発したのは、アメリカ・ヴァージニア州でスタートアップ企業を起業したPeter Ginzburg(ピーター・ギンズベルグ)氏。『GinzVelo』というモデル名は、自分の名前から取ったようだ。
子供の頃から新しいタイプのモビリティを作りたいと考えていたGinzburg氏が、革新的だと自負するのが、前2輪、後1輪の3輪車。車輪自体の構成は、その昔あったオート3輪車と同じだ。
しかし、違うのは動力。こちらは、前2輪に付いたペダルを使い人力で移動する。また、500Wブラッシュレスモーターや48Vバッテリーも装備しており、人力をアシストして快適で軽快な走りを実現する、というものだ。
電力だけでもクルマと同等に走る
ボディには、ファイバーグラスなどを多用し、重量は85ポンド(約38kg)と超軽量だ。外観デザインは、開発者が主張する“スペースシップ的”というより、どちらかと言えばタマゴ!? まぁ、その辺りは主観の問題もあるが、とにかく空力はよさそう。前輪もフルカバードされているし。
軽さと空力特性のよさのおかげか、ペダルを漕がず電動モーターだけでも、20MPH(約32km/h)のスピードを実現。しかも、1回の充電で航続距離は75~100マイル(約120~160km)というから、走れる距離もなかなかだ。
逆に、電動アシストなしでペダルを漕いだだけの時の速度は、30MPH(約48km/h)以上で、いずれも都市部ならクルマと同等のスピードで走ることが可能。ペダル+電動アシストの場合は“速度無限大”とは開発者の弁だが、まぁそこそこ速くは走れるようだ。
歩道も走れる気軽さ
乗り降りは、外装ボディを前から上にアップさせればOK。走行中は、雨風も当然防げるし、「自転車なので車道だけでなく歩道も走れる(アメリカの場合。日本の法規では自転車は原則的に車道)」のもメリットだとか。また、小型なので、比較的駐車場にも困らないし、ペダルを漕げば運動になるから健康的……と、いいことづくしというのが『GinzVelo』だ。
この3輪車は試作品がすでに完成済み。現在、開発者のGinzburg氏は、米クラウドファンディング・サイト『Kickstarter』で、生産資金を募るキャンペーンを7月25日まで実施中だ(目標額はすでにクリア)。
発売時の価格は6,900ドル(約85万円)を予定。動画などで試作品を見る限りでは、外装などが少し安っぽく見えるが、製品版は改良されるのだろうか。その辺りも考慮すると、この価格は高いのか? 安いのか?
また、小型EVと比べると、人力を使うぶん、航続距離は長そうだが、こういったスタイルが将来普及するのか……さて、この記事を読んでいる読者はどう考えるだろうか?
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【参考・画像】
※ GinzVelo