以前(2014年の6月)、『FUTURUS』で超音波により物体を浮上させる技術について紹介し、大きな反響を得たことがあった。
『YouTubeで300万回再生「東大開発の新技術」がまるで魔法』
この魔法を実現した“21世紀の魔法使い”こと筑波大学助教の落合陽一氏の研究チームが、再び世界を騒がせている。
今度は(空気以外)何もない空中に映像を浮かび上がらせ、指で触れることができるという“魔法”だ。
題して『Fairy Lights in Femtoseconds』。
また、この動画は6月22日に公開されたが7月6日時点では、518,898回再生されている。どのような“魔法”なのだろうか。
空中に映像が浮かび上がる
動画を見ると、何も無い空中に光りの粒が回転している。しかし指先が触れると発光して変形するという反応を示すのだ。そこには何かが存在しているのだろうか。
この発光体は、様々な形を作れる。天使やロゴやハートマークなど自在だ。
チェックボックスといった四角い形状も作れるが、驚くべきは、その空中で発光しているチェックボックスに触れると、ボックスの中にチェックマークが加わることだ。
明らかに、インタラクティブな発光体である。
この仕掛けは高度なので筆者には理解出来ない。興味がある人は記事の下に記載した参考サイトを確認してほしいが、乱暴に言えば、レーザー光を空間のある位置に集中させて照射すると、そこにある空気分子がプラズマとなり発光体となるということらしい。
つまり、何もない空間の狙った位置を発光させることができるのだ。その技術を利用して空間に形状を描くことができる。
単にレーザーを集中して照射させると危険なため、フェムト秒(0.000000000000001秒!)という短いパルスレーザーを使用しているという。そのため、発生したプラズマは触れても安全なのだという。
ただ、触れると僅かな衝撃はあるため、「あ、触った」という感触が得られるようだ。
実はレーザー光を一点に集中させてプラズマを発生させるという技術自体はこれまでもあったのだが、『Fairy Lights in Femtoseconds』では解像度を高め、安全性を高めたということで実用化への期待が高まる実験になっている。
触れることができる立体映像
現在は3次元映像を見るためには、様々なレンズやディスプレイを使っているが、『Fairy Lights in Femtoseconds』ではいきなり空中に描いてしまうというところが画期的である。しかも触れるのだ。
しかし、現在のところは指先ほどの形状を浮かび上がらせるためにも大がかりな装置を必要としている。
この装置を大型化せずに描画能力を高めることができるかどうかが課題になるだろう。
また、指先で触れる分には安全だが、目に入ると危険であるため、安全対策も実用化には課題となる。
それにしても、空中に映像を描き指で触れることができるというのは、まさに“現代の魔法”といえる技術だ。
【関連記事】
※ YouTubeで300万回再生「東大開発の新技術」がまるで魔法
※ いつでもどこでも持ち運べる気象観測デバイス「Weather Point 2.0」
※ 壁や窓を有効活用?好きなところに貼り付けて収納スペースをつくりだす「WALL-IT」
※ 装着するとスマートウォッチでジェスチャーコントロールが可能になる「Deus Ex Aria」
※ 必要な機能だけを選べる変幻自在のスマートウォッチ「BLOCKS」
【参考・画像】
※ Fairy Lights in Femtoseconds – Digital Nature Group