オンラインで商品を購入しようとすると、スマートフォンで自撮りすることを要請されるようになるかもしれない。
なんだかからかわれているようだが、これはクレジットカード大手Mastercardが試験を進めている新しいオンライン決済の認証方法なのだ。Mastercardはオンラインでの決済に、顔認証を利用しようとしている。そのため、スマートフォンの専用アプリを使って、自撮りすることになる。
現在はパスワードとセキュリティコードによよってオンライン決済のセキュリティーが守られているが、これらは盗まれる可能性がある。そこで、身体的な特徴も使った2重の認証を行えば、安全性が高まるだろうという考えだ。
既に大手企業とも提携して進められている顔認証テスト
Mastercardの自撮り認証は本気である。既にアプリのテストに関しては、Apple、Google、Microsoft、BlackBerryといったそうそうたる企業と提携しているほか、大手金融機関とも交渉中だという。
現在は500人の顧客を対象に試験しており、その後一般公開を検討することになる。これは今年の秋頃を目指しているようだ。
Mastercardの自撮り認証は、つまりは顔認証なのだが、写真を使ってごまかせないように一工夫してある。それが瞬(まばた)きだ。瞬きという生身の人間の動作を取り入れることで、写真による騙しを防ごうというわけだ。
ただ、瞬きしている動画をかざしたら認証されてしまうのではないだろうか、とも思ったが、どうだろうか。このアプリは指紋認証機能も備わっているとのことなので、それも併用することになるかどうかは分からない。
ちなみに、顔認証のために利用者の顔の画像データがMasterCardに送信されるわけではなく、コード化されたデータが送信されることで、顔写真のデータが盗まれることは無いとしているが、そのコード自体が盗まれる可能性はないのだろうか。
これからは身体的特徴が認証に使われるようになる
Mastercardは顔認証だけに絞ってテストしているわけではないようだ。身体的特徴として、声や心拍パターンによる認証技術についてもテスト中だという。
声の場合は何か決めぜりふを口にするのだろうか。心拍パターンを利用するとなると、スマートウォッチやリストバンド型ウェアラブルデバイスが必要になるだろう。いずれにせよ、パスワードと組み合わせることで、より安全性が高まることは期待できる。
ところで、Mastercardの顔認証では、メガネを掛けている人はその都度メガネを外すのだろうか?
興味は尽きない。
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【参考】
※ MasterCard will approve purchases by scanning your face – Jul. 1, 2015
※ MasterCard trialling facial recognition to authorise online payments | Ars Technica UK
※ Mastercard testing facial recognition security app – BBC News