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ダイハツ・コペンが見せたコスパでは計れないオープンカーの価値

クルマはスマホの夢をみるか

現在の日本社会は自動車メーカーにとってパラダイスではない。若者の○○離れが叫ばれ、若者の興味はスマホに集中しているのが現状だ。自動車もその例外ではなく、買ってもらえない時代となった。そんな2012年にコペンはフルモデルチェンジすることになる。クルマの性能を上げるのは当然ではあるが、それだけでは済まないほどスマホの社会に与えるインパクトは大きかった。copen_DSC_0786-500x350

コペンがチャレンジしているのは、いいクルマを作ろう、どこどこサーキットで最速ラップを刻もう、といったようなレベルの話ではない。旧来の価値基準とは異なる新しい価値を提供しようとしている。スマホの場合カスタマイズの基本はスマホケースであり、その市場は世界規模で広がった。同じスマホであっても、ユーザーごとに異なるスマホケースを使うことで、独自性をアピールすることができるし、ユーティリティも異なる。実は同じことがコペンでは可能なのだ。

 

コミュニケーションの重要性

スマホはLINEの爆発的普及をみても分かるように、コミュニケーションが前提となっている。コペンは同じく、ただクルマを売ってハイおしまいではなく、そこがスタートラインになるように周到に準備されている。一方的にメッセージを押しつけるTV CMを廃し、その代わりにユーザーや地元の人の交流の場となる LOCAL BASEに割いていることからも分かる。

COPEN

実際に行ってみると分かるが、決してコペン・ユーザーがたむろしているような閉鎖空間ではなく、地元の人の憩いの場であったり、鎌倉へきた観光客が喫茶を楽しむ場所となっている。むしろ展示されているコペンの存在感があまりにも薄く、心配になるほどだ。しかしこの「押し付けがましくない」姿が現代のパブリック・リレーションにちょうどいいのかも知れない。重要なのは対話をする姿勢なのだ。

 

コスパでは計れない価値の提供

費用対効果、コスト・パフォーマンス。そのものの価値が見合うかどうかを判断する基準としてよく使われ、最近、人々は口癖のように「コスパがいい」「コスパが悪い」という。しかしその内実は単純にコストの大小であり、パフォーマンスを正確に計れているとは言い難い。そもそもパフォーマンスを評価するのにはその人自身の知識・経験が問われるものであり、「猫に小判」というように小判のパフォーマンスを知らない猫にいくら小判をあげても無駄なのである。

オープンカーは自動車の中にあっても特殊な存在である。通常の乗用車が移動や運搬の道具としてパフォーマンス、どれだけの荷物をどれだけ安く運搬できるか、という計算ができるのに対し、オープンの爽快感、であったり、走る楽しみ、所有する歓びといったなかなか数値評価できないものが含まれるからである。

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そもそも数値化できないものを、無理に数値化することに意味があるのだろうか。ないのであれば、つまりはコスパは計測不能ということだ。