生きていくのに必要な栄養は賄ったというドリンク
それだけ飲んでいれば食事は不要として脚光を浴びた『Soylent』は、大豆ベースの栄養食品で粉末状だった。そのため、それを飲むためにはオイルと水に溶かすために混ぜ合わせる必要があった。
しかし、『Soylent 2.0』は、最初からドリンクになっていて、ボトルの蓋を開ければすぐに飲める手軽なものになった。
『Soylent 2.0』は、人が生きていくために必要な栄養素は全て入っているという。すなわち、ビタミンやミネラル、脂肪、炭水化物、タンパク質がバランス良く摂取できるというのだ。
もうこれさえ飲めば、食事はしなくてもいいらしい。しかも、ヴィーガンと呼ばれる完全菜食主義者でも飲めるように、動物に由来する材料は使われていないそうだ。
例えば脂肪エネルギーも約半分は海藻類に由来する。タンパク質も大豆に由来している。
炭水化物が糖に変化する速度を表すGI値も低く抑え、長時間エネルギーを提供できることも特徴としている。

忙しすぎて食事をとる時間も無い人が、手軽に栄養を補給するには良さそうなドリンクだ。
ただ、これを全ての食事代わりに飲むというのは、どういうことになるだろうか。
食事とは何かを考える機会を与えてくれそうだ
実は前バージョンでは、『Soylent』を食事の代替物として売り出したのだが、これはあまりに極端な市場創出だったようだ。そのため、限られた市場にしか受け入れられなかったのだろう。
そこで『Soylent 2.0』では、朝忙しくて食事ができない人や、ファストフードなど栄養バランスが崩れがちな食事で済ませてしまっている人たちの栄養を補足する、という位置付けも加えたようだ。その方が市場としては大きいだろう。
なお、『Soylent 2.0』は常温で1年間の保存が可能であることを考えると、非常食としても便利かもしれない。といっても毎日飲むだけでは飽きるだろうから、いくつかの非常食の一つにすれば良さそうだ。

そもそも、人は車の給油のように、エネルギーだけを飲んでいれば満足できるものではない(できる人もいるかもしれないが……)。
食事では咀嚼することも健康には重要だろうし、味わったり喉越しを楽しむことも食事の重要な要素だ。あるいは目で楽しむ要素もあるし、食事を通したコミュニケーションだってある。
ただ飲んでいるだけでは味気なさ過ぎてストレスが溜まり、鬱などにも成りかねない。また、『Soylent 2.0』は飲みきりタイプのボトルだが、そもそも必要なエネルギーや栄養の量には個人差もあるのだ。
やはり『Soylent 2.0』は、完全なる食事の代用品ではなく、補助食か非常食として捉えた方が健全な気がするのだが。
さて、市場はどのように反応するだろうか。
【参考・画像】
※ Soylent.com – Free your body
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