EV(電気自動車)やPHV(プラグインハイブリッド車)の普及は、なんと言っても充電インフラの充実にかかっている。
そのため、最近ではEV用の充電スタンドを見かける機会も増えてきたので、インフラの整備は着実に進められているようだが、ここにきて商業施設としては国内最大規模のEV・PHV用充電器の導入が発表された。
8月6日、セブン&アイ・ホールディングスとNECが、計3,380台に上るEV・PHV用充電器を設置することを発表したのだ。
具体的に設置される商業施設は、『イトーヨーカドー』、『Ario』、『そごう』、『西武』で、全国で45店舗を予定している。
これらの充電設備は、2015年11月以降に設置が完了した店舗から順次利用できることになる。設置の完了は、2016年2月までを目標としている。
車はショッピング中に充電するスタイルに
実はこの計画に先立ち、一部の店舗では試験的に充電器を設置して様子を見ていたようだ。
確かに総合スーパーや百貨店と言った、大型の商業施設を訪れた客の滞在時間は長い。それならその時間に、駐車してあるEVやPHVに充電を済ませられれば、利用者にとっては都合が良い。
プレスリリースでは、今回の取り組みでは環境配慮型の次世代自動車の普及を促進させ、低炭素社会の実現に貢献すると謳っているが、実際は新たなビジネスチャンスを掴もうとしているわけだ。
実際、EVやPHVの所有者であれば、どうせショッピングに出かけるならショッピング中に充電できるところが便利なわけで、そうなれば数ある商業施設から充電器が設置してある店を選ぶことは当然だ。つまり、充電器は新たな集客ネタとなる。
充電器の利用料は通常の充電器であれば1時間120円で、急速充電器であれば30分で450円になりそうだ。きちんと料金を取ることで、持続的なサービスの提供を行える仕組みになる。
ただ、環境配慮型の次世代自動車の普及に一役買うと言うことで、政府による補助金が活用される。補助金を含めた投資額は、全体で50億円程度になるようだ。
充電インフラの整備は着実に進んでいる
NECが設置する充電器は壁掛け型普通充電器というタイプになるようで、利用者認証や課金管理、そして監視や制御を一元管理できる壁掛け型充電コントローラーも設置される。
そして支払いだが、国内自動車メーカー(トヨタ、日産、ホンダ、三菱)が設立した合同会社日本充電サービスが発行する充電カードが使える。他にも『nanaco(ナナコ)』が利用でき、この場合はポイントが付与される。
こうした取り組みが進めば、EVやPHVの利用者にとっての利便性は高まるし、インフラが充実することで、EVやPHVの購入を検討している消費者の背中を押すことにはなるだろう。
実際、ガソリンスタンドを利用しているハイブリッド車の利用者たちの中には、充電インフラさえ充実すれば、EVに乗り換えても良いと考えている人たちが多いのではないだろうか。
最近では、三井不動産リアルティが『三井のリパーク』駐車場にEV・PHV用充電器を設置することも発表されており、充電インフラが続々と整備されてきている。
EV・PHV等の環境配慮型次世代自動車が、いよいよ主流になってきそうだ。
【参考】
※ セブン&アイ・ホールディングスとNEC、国内最大規模 3,380 台の EV・PHV 用充電インフラを導入~全国 45 店舗のイトーヨーカドー、Ario、そごう、西武に設置~
※ 三井不動産リアルティとNEC、「三井のリパーク」駐車場にEV・PHV用充電インフラを設置
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