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プリウスPHV開発責任者に聞いた「なぜPHVに注力するのか」

トヨタがPHVを本命と考える理由・・・

ーーー 最近ヨーロッパメーカーはEVに力を入れてきていますが、トヨタでEVはやらないのでしょうか。

元々EVも研究していましたが、EVに搭載する電池はここ5年から10年くらいのタイムスパンで考えた時に大きな技術革新は難しいと思います。そうなると航続距離の問題が解決できず、EVは近距離のコミューターとして限定的に使うものと考えています。

ーーー 確かにトヨタ車体でコミューター用としてコムスを出していますね。では燃料電池自動車(FCV)はどうでしょう。

燃料電池自動車(FCV)は今後力をいれていく分野です。将来の究極のエコカーとして進めていきますが、当面は、インフラ整備、水素ステーションの設置が課題で、それぞれの地域での状況に合わせると、インフラ整備は難しい側面があります。FCVはすぐに普及させる、というよりもPHVの先の将来のものとして位置づけています。

*トヨタは、6月25日にFCVの14年度内発売を発表した

ーーー FCVの時代はすぐには来ない、EVも限定的用途、となるとやはり本命はPHVなんですね。

そうです、ここ5年から10年を見据えた時、トヨタはハイブリッド(HV)を中心としてプラグインハイブリッド(PHV)に力をいれていきます。環境というものは時代の変化とともに条件が変わり、例えば東日本大震災以前は電気はいわば無限のものと思われていたのにそれが有限であることが分かりました。

ーーー 以前は原子力発電で電気が余っていましたからね。原発は地球温暖化ガスがなく、環境に優しいと言われていました。

東日本大震災以降、原発は稼働をやめて現在は火力発電で動いています。そうなると電気だからといって環境にいい、CO2が0とは言いきれない。

ーーー 結局どこで排出ガスを出すか、市街地か、発電所なのかという違いだけですからね。

火力発電ではない、カーボンニュートラルの電気もありますが、まだ値段が高いです。ガソリンは原油から精製して作るもののひとつで、ガソリンを作るためだけに原油を使っているわけではありません。原油はたしかに有限ですが、ガソリンは原油から精製する副産物として使っていけるものです。

ーーー ええっ、そうなんですか? じゃあ逆に使わないとガソリンが余ってしまうなんてこともあり得るのですか。

ええ、ですから今大切なのは色々なエネルギーソースに対応するフレキシビリティで、これが未来永劫続いていける(サステイナビリティの)条件です。電気であったり、ガソリンだったり、場合によってはディーゼルやバイオ燃料、メタンハイドレート、CNGも考えられます。原動機(エンジン)が素晴らしいのは色々な燃料に対応できることです。電気でもガソリンでも走行できるPHVは、そういった意味でもこれからの時代に適したクルマだと考えています。

ーーー すると発電機を搭載するレンジエクステンダー付EVもひとつの解ですね。プリウスPHVは構造上似ていますが、違いはなんでしょうか。

広い意味で、レンジエクステンダー付EVはPHVです。ただプリウスPHVと違うのはエンジンを主に発電専用とし、その発電した電気で動力モーターを回して駆動しています。

*レンジエクステンダーとは

レンジエクステンダー(range extender)とは、電気自動車(EV)に装備される発電機のこと。走行中に発電することで電力をモーター動力に使用し、航続距離を伸ばすことが可能となる。日産リーフには用意されていないが、BMW i3にはレンジエクステンダー付モデルがラインナップされ、同社のバイク用650ccエンジンを流用し発電機としている。また開発中のマツダ・デミオEVではレンジエクステンダーに 330ccロータリーエンジンを搭載、注目されている。

ーーー プリウスPHVのエンジンは発電専用ではなく、直接駆動することも可能なハイブリッド(HV)ですね。

*エンジンが発電しモーターへ電力供給、同時に駆動を行うハイブリッド状態

EVでの航続可能距離 0.1kmの表示

そうです。ガソリンは電気とくらべてエネルギー密度が何十倍もあり、とても効率がよいものです。逆をいうと電気は車のエネルギーとしては効率が悪いんです。その効率のいいガソリンを電気と組み合わせて、動力として上手に活用しよう、というのが、PHVの考え方です。

ーーー 燃費、といいますかガソリン消費量はどう違うのでしょう。

例えば同じ条件で走ったとしたら、レンジエクステンダー付EVの方がプリウスPHVよりもガソリンを多く使ってしまう場合もあります。つまり効率を考えると、レンジエクステンダーよりもPHVの方がいいんです。

豊島浩二氏へのインタビューは全4回でお伝えしていく。

 

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