ポップさと力強さ、そしてちょっとした不気味さは、浮世絵ならではといえるかもしれない。映画『スター・ウォーズ』を題材にした浮世絵という非常にユニークなコラボである。もちろんルーカスフィルムの公式ライセンス商品だ。
木版による本気の浮世絵
もともと『スター・ウォーズ』は、黒澤明監督『隠し砦の三悪人』などに大きく影響を受けているといわれているほか、登場人物の衣装などにも日本的な要素が見られる。いっぽう浮世絵というのは江戸時代の大衆文化で、本来はポップなものであった。そう考えると「スター・ウォーズ」と浮世絵のコラボというのは親和性が高いのかもしれない。
しかも、“浮世絵チック”なイラストというわけではない。木版で描かれたまぎれもない浮世絵そのものなのだ。絵師、彫師、摺師という現役の職人が手がけたアートプロジェクトだ。
絵師は、六代目歌川豊国に師事した石川真澄氏。彫師は渡辺和夫氏と関岡祐介氏、摺師は吉田秀男氏で、いずれも浮世絵木版画彫摺技術保存協会に所属している技術者だ。また和紙は、越前和紙漉元山口和夫氏の特別制作による純手漉和紙の越前生漉奉書だという。
浮世絵らしい3つのデザイン
作られた浮世絵は3デザイン。まずはダース・ベイダーを描いた『星間大戦絵巻 暗黒卿 堕悪巣俾荼』だ。『堕悪巣俾荼(ダース・ベイダー)』という当て字も遊び心があって楽しい。それにしてもこの迫力は見事だ。空に浮かんでいるのが月ではなくデススターというところもいい。
次は『星間大戦絵巻 惑星補巣の戦い』。氷の惑星ホスでの戦闘を描いた作品だ。映画の中では明るい天候だが、広重の風景絵のような雪の景色を意識して、あえて暗めの背景で描いたという。手前に配置されたAT-ATスノーウォーカーが浮世絵らしい大胆さを見せる。上空を飛ぶスノースピーダーがかわいい。
そしてもうひとつは『星間大戦絵巻 阿弥陀羅姫 R弐D弐』。アミダラを美人絵のように描いた作品だ。左上にアミダラが慕うアナキン・スカイウォーカーを配置しているところも、雰囲気が出ている。
筆者は浮世絵ファンなのだが、この試みは楽しい。『スター・ウォーズ』もいいが、スポーツやイベントなど、さまざまなものとコラボした現代の浮世絵があってもいいのではないだろうか。
なお、この『スター・ウォーズ』の浮世絵、クラウドファンディングのサイト『Makuake』で先行発売している。1枚5万円だ。すでに2点は売り切れ、残りは『星間大戦絵巻 惑星補巣の戦い』だけになっている。
【参考・画像】
※ STARWARSの世界を本物の浮世絵に!~ルーカスフィルム公式ライセンス商品~ -Makuake
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