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【2020年以降の未来予想】10年後の自動車はどうなっているのか

エンジン車、ハイブリッド車も安泰ではない

ハイブリッド車の普及やガソリン車の燃費向上により次々とガソリンスタンドが潰れていっている。燃費が全体で2割向上すれば、ガソリンスタンドの売上が約2割落ち込むと考えれば、自明であろう。そしてロングスパンで考えればガソリン供給が先細ることは明確であり、代替エネルギーにシフトしなければならないのは社会全体の課題である。

こうなってくると現在主流になろうとしているハイブリッド車も安泰ではない。ガソリンを給油するために長距離移動しなければならないからだ。

 

PHV、レンジエクステンダー付きEV、FCVの可能性

外部充電が可能なPHV・PHEV(プラグイン・ハイブリッド)は現実的な解決方法だ。ハイブリッドで使用する電池の容量、サイズを大型化し、家庭や外の急速充電器に対応することで、EV同様ゼロエミッションでショートレンジを走行可能だ。電池が切れたらエンジンが始動して走行、充電とロングレンジまでカバーできるので、旅行やドライブでも心配がない。

(参考:プリウスPHV開発責任者に聞いた「なぜPHVに注力するのか」 | FUTURUS(フトゥールス) https://staging.nge.jp/2014/07/10/post-1137)

同様の構造にレンジエクステンダー付きEVもある。PHVとの大きな違いはレンジエクステンダーは発電専用エンジンとなり、駆動はしないという点である。発電専用エンジンのため構造がシンプルで、小型化できるのがメリットである。

FCVは構造的にレンジエクステンダー付きEVに近い。モーター駆動である点は共通で、電気を作るためのレンジエクステンダー(発電機)の代わりに燃料電池を使う。

 

ガソリン車と同様にズルいFCV

燃料電池とは水素をエネルギー源として、空気中の酸素と反応させて電気を作るものである。貯めこむわけではないので、電池というと語弊があるが、こちらもガソリン車と同様酸素を大気中から自由に取り込むことができるという点でズルをしている。ただガソリン車と違い排気ガスは出さず、出すのは反応によってできたH2O、つまり水だけというクリーンな点が売りだ。

 

水素ステーションと水素の生成方法

FCVは水素タンクをもち、水素ステーションで水素を充填して走行する。充電時間は数分、航続距離は600kmとエンジン車同様の使い勝手が売りだ。ただ課題なのが水素ステーションの設置数と、その水素をどのように生成するかだ。生成方法はそのまま小売価格に直結するだけに、無関心ではいられない。

水素ステーションの普及は卵とニワトリだという。つまり水素ステーションがなければFCVは普及しないし、普及しなければ作れない、というものだ。そこで国と自動車メーカー、エネルギー産業が協調することで水素社会到来に向けて進んでいる。

(参考:20年先を見越したトヨタFCV「MIRAI」インタビューまとめ | FUTURUS(フトゥールス) https://staging.nge.jp/2014/12/18/post-89032)

水素の生成方法は石油精製過程で出る水素を利用するものと、電気分解で生成し海外から運搬する方法などあるという。電気を作るために電気を使うことになる電気分解は一見不思議であるが、電気は貯蔵・運搬に向かないため、貯蔵・運搬に向く「水素」に変換していると考えると納得がいく。

ただいずれにしても水素が一般的になるのは少し先の未来になりそうだ。

 

まとめ

戦後ガソリン供給が不安定だった時代、安定供給された電気を背景に日産の電気自動車「たま」が活躍していた。ガソリン供給が安定的になると自然とエンジン自動車へとシフトして消えて行った。

次世代自動車の主流はテクノロジーだけではなく、エネルギーインフラや社会情勢に大きく依存する。化石エネルギーの安定供給が継続するか、代替エネルギーがとってかわるのか、デッドヒートが続くといっても過言ではない。ただ地球温暖化の問題はいよいよもって現実化しており、早急な対応が必要である。

このような情勢下で未来を見通すのであれば、5年後あたりまではハイブリッドをプラグイン化したPHV、レンジエクステンダーEVが主流となり、10年後はポツポツとFCVを町でみかけるようになる、といった具合だろうか。

パワーユニットだけではなく、自動運転技術の進化も逃せない。EVとの親和性が高い自動運転技術の普及はEVの普及を後押しする可能性があるからだ。また安全性確保の面から自動車よりもトラックやバスといった運輸でも自動運転技術の採用が進むだろう。

いずれにしても大きな変革期を迎えている自動車社会。今後も注目していきたい。

 

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