テクノロジーはけっして無機質なものではない。感性とむすびつくことで思いがけないアートを生み出す。
磁性流体を使ったディスプレイは、見たことのなかった動きで時刻を知らせてくれる。
オランダの工業デザイナーZelf Koelman氏が発表した『Ferrolic』というデバイスだ。
電磁石で流体を動かす
これは、強磁性流体つまり磁性を帯びた流体を使ったディスプレイだ。ユニットの前面には、水槽のように水がたくわえられたスペースがとられ、その中で強磁性流体は自由に動くことができる。その背面が白いスクリーンになっているわけだが、その裏側には電磁石があって、それを制御することで強磁性流体の動き、形をコントロールできるようになっているわけだ。
強磁性流体の動きや、形をコントロールする電磁石を制御するソフトウエアはウェブブラウザを通して編集することができる。つまり、ユーザーが強磁性流体で描く図形や動きを独自に作り出すことも可能だ。時計を表示させることも、文字を表示させることもできる。
量産化には課題も
これを見てほしくなったひともいるのではないだろうか?
この『Ferrolic』はまだ量産されてはいない。現時点ではまだ試作の段階で、解決しなければいけない課題もある。たとえば、流体の寿命は、その使用頻度にもよるが、短ければ数ヶ月しかもたないという。
またディスプレイのコントロールには、ノートPCやタブレット等とWiFiで接続させてやる必要がある。セットアップ自体はむずかしくないというが、なにか不具合がおきたときには、多少コンピューターの扱いに慣れているひとのほうが対処しやすいようだ。
それでも最初の限定試作品24個が販売はされている。価格は7,500ユーロだから、かなりの値段だ。これは今後の開発のための先行発売品といえる。開発が進めば、いずれ量産品が登場するのだろう。
それにしても、なんの意志も持たない無機物である強磁性流体が、これほどまでに生き物のような動きを見せるとは驚きではなかっただろうか? 特別なにかの役に立つというものではないが、ロマンを感じさせるテクノロジーの利用方法だ。
【参考】
※ Ferrolic
【動画】
【画像】
※ Hana / PIXTA(ピクスタ)
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