世界一”きれい好き”と言われる日本。そして世界有数のロボット技術大国日本。この世界に冠する二つの特性を持ちながら、不思議なことに世界一になれない分野がある。
それは、ゴミの収集技術だ。
日本は本当にきれい好きなの?
日本を訪れる外国人の多くは、日本に対してこんなイメージをもってやって来る。
「日本人は、とてもきれい好きだ」
だが、来日してみるとイメージとのギャップに戸惑うことがあるという。
朝の住宅地や繁華街で毎日のように見かけるゴミの山。
その多くは、ただ無造作にゴミ袋が積まれただけである。そこへカラスや猫がやって来てゴミ袋に穴を開け中身を漁り、辺り一面にゴミを撒き散らす。
通学・通勤をする人たちは、少し顔をしかめながら、少しの間だけ息を止めて、ゴミを避けながら無言で歩いてゆく。
こんなことを何十年と続けていても、誰も何も文句を言わない。誰だって「なぜゴミを容器の中に入れないんだ?」と思うはずだ。
しかし、何も変わらない。
まるで、これが日本の朝のちょっとした風物詩でもあるかのように。
世界のゴミ収集の風景
しかし、来日する外国人の故郷の地では、よほどの地域を除いてはこんな光景は見ることはない。
多くの国では、かなり以前からゴミ収集車はロボット化されており、作業員が運転席で巨大アームを操りながら回収していく。
筆者がホームステイをしたカナダでもオーストラリアでもそうだった。
そんなロボットアームのゴミ収集車にも問題点があり、その一つが騒音問題。気持ちのいい朝の静けさが台無しだ。だが、最新式の収集車は音も静かになっている。
ロボット式収集車が日本に導入されない理由の一つとして昔から言われ続けていることに「日本の道路の狭さ」という事情がある。
だが、日本同様国土が狭く、市街地に入り組んだ狭い道が多いイギリスやオランダでは、そんなことはもう解決済みだ。彼の地では狭隘道路用の収集車が活躍している。
なぜ日本だけ?
欧米諸国と比べても、平均気温も平均湿度も一年中高い日本。ゴミを容器に入れずゴミ袋のままで山積みしておくことに違和感を覚えないのが不思議なくらいだ。
オリンピックに向けて、東京は至る所が工事だらけ。観光・サービス業では”おもてなし”の掛け声ばかりが叫ばれる。しかし、もっと目を向けるべきところはあるのではないだろうか?
競技観戦するために心躍らせホテルを一歩出た外国人が、高く積まれたゴミの山と散乱する生ゴミを目にしたら、いったいどう思うだろうか?
ゴミの回収において、世界の常識と潮流から全く異なる道を歩む日本。やはりこの国はガラパゴスなのだろうか?
*画像:© Haley Bissegger